アプリ内ブラウザを使用すると、ユーザーがアプリを離れる必要なく、アプリ内でウェブ コンテンツを表示できます。一般的なソーシャル アプリ、ニュースアプリ、検索アプリ、H5 ゲームアプリでよく見られます。
多くの場合、アプリ内ブラウザはモバイルアプリの OS コンポーネント(WebView、WKWebView など)を利用しています。これらのコンポーネントのデフォルト設定は、広告の収益化に最適とは言えません。つまり、アプリ デベロッパーは、広告収入を最大化するために、これらのコンポーネントを最適化する必要があります。
アプリ内ブラウザのトラフィックを分析することで、貴重な分析情報を得ることができます。特に、分析情報で修正可能な問題が示されている場合は、アプリ デベロッパーと共有することをおすすめします。分析情報は収益化戦略にも役立つ場合があります。直接販売のアプリ内ブラウザのトラフィックは、アプリ ID 単位でもターゲティングできます。
分析に役立てるため、Google アド マネージャーでは、アプリ内ブラウザと、コンテンツや広告をホストするアプリが識別されます。アプリとブラウザの新しいディメンションがあり、既存のディメンションの新しい値があります。アプリ内ブラウザのトラフィックと、広告をホストするアプリの識別は不完全で、アプリ デベロッパーが送信する必要があるシグナルに依存していることにご注意ください。
アプリ内ブラウザの分析情報と推奨事項は、アプリ ID によって異なります。アプリによっては、おすすめの方法が有益な場合もありますが、すでに適用されている場合もあります。広告をホストする人気のアプリのそれぞれについて、広告のテストのユースケースを検討しましょう。
この記事の内容:
アプリ内ブラウザの広告枠と掲載結果を確認する
エクスプローラ、ホーム ワークスペース、予測、Data Transfer、レポートに追加されるアプリ内ブラウザに関するディメンションにより、アプリ内ブラウザ広告の重要なパフォーマンス分析情報を確認できます。
ディメンション
アプリ内ブラウザと最も関連性の高いディメンションは次のとおりです。
注: 地域によっては、使用できないディメンションもあります。アプリ内ブラウザのトラフィックと他のトラフィックの比較では、これらのディメンションがどのように関連するかをご確認いただけます。
エクスプローラ
トラフィック エクスプローラでは、ターゲティング式を使用して、広告枠に関する特定の情報に基づくデータを表示できます。オーディエンス エクスプローラのデータを元に、より関連性の高いオーディエンスをターゲティングして、収益の向上につなげることができます。両方のエクスプローラについて、「上位のブラウザ」カードで、アプリ内ブラウザの値を確認します。
ホーム ワークスペース
ホーム ワークスペースの次のカードに、アプリ内ブラウザのトラフィックに関する分析情報を表示できます。
ID の分析情報
[ID の分析情報] カードでは、トラフィックで利用できるさまざまなタイプのユーザー識別子を確認できます。利用できるユーザー識別子は、広告の掲載結果に影響する可能性があります。アプリ内ブラウザには、利用できる識別子に影響する設定がある場合があります。たとえば、サードパーティ Cookie は Android WebView ではデフォルトで無効になっていて、ただしアプリ デベロッパーは有効にできます。パフォーマンスの概要
[パフォーマンスの概要] カードでは、アプリ内ブラウザのディメンションで内訳を表示、フィルタして、パフォーマンスの推移をトラッキングできます。
予測と Data Transfer
アプリ内ブラウザの広告枠の数を予測するには、広告枠の在庫予測の設定を確認します。手順 13 で、関連するアプリ内ブラウザのディメンションをターゲティング選択ツールで選択します。
アプリ内ブラウザのトラフィックは、Data Transfer レポートの [Browser] フィールド、[BrowserId] フィールド、[MobileAppId] フィールドに反映されます。
レポート
アド マネージャーのレポートでは、カスタムのレポートを作成したり、定期的に作成するようスケジュール設定したりできます。アプリ内ブラウザのほとんどのディメンションに対応しています。
- Google アド マネージャーにログインします。
- 手順に沿ってレポートを作成します。
- [アプリ ID] と [アプリ名] のディメンションを選択します。
- [合計インプレッション] の指標を選択します。
- [ブラウザ カテゴリ] = [アプリ内ブラウザ] でフィルタします。
レポートを [インプレッション数] で並べ替えると、人気のアプリが表示されます。
すべてのアプリ内ブラウザの広告リクエストでアプリ ID が指定されているのが理想的ですが、対応しているとは限りません。このディメンションに「(該当なし)」と表示されている場合は、アプリ ID が指定されていないか、アプリのヒントが正しく解釈されていないことを意味します。アド マネージャーに利用できるヒントが表示されない場合は、Google までご連絡ください。WebView API for Ads を追加すると、このディメンションの適用範囲を広げることができます。詳しくは、シグナルをご覧ください。
-
手順については、広告をホストしている人気のアプリを特定するをご覧ください。
- [アプリの所有権ステータス] で [所有] を選択してフィルタします。
レポートには、ターゲティングに登録したアプリが絞り込まれて表示されます。アプリをターゲティングに登録していない場合は、公開済みのアプリと非公開のアプリを設定します。この操作は元に戻せません。
アプリ内ブラウザの広告リクエストの分布をアプリのバージョン間でトラッキングする
アプリ デベロッパーは、デベロッパー ガイドに沿って、アプリの新しいバージョンをアップロードすることが必要になる場合があります。「アプリのバージョン」ディメンションを使用して、パフォーマンス指標に基づいてアプリのバージョンをトラッキングします。
- Google アド マネージャーにログインします。
- [アプリのバージョン] ディメンションを追加します。
- [合計インプレッション] の指標を追加します。
すべてのアプリ内ブラウザの広告リクエストでアプリのバージョンが指定されているのが理想的ですが、対応しているとは限りません。このディメンションに「-」と表示されている場合は、アプリのバージョンが指定されていないか、アプリのヒントが正しく解釈されていないことを意味します。アド マネージャーで利用できるヒントが表示されない場合は、Google までお知らせください。WebView API for Ads を追加すると、このディメンションの適用範囲を広げることができます。詳しくは、シグナルをご覧ください。
アプリ内ブラウザのトラフィックと他のトラフィックの比較
値「アプリ内ブラウザ」を使用すると、ウェブ、アプリ、アプリ内ブラウザのトラフィック別にパフォーマンス指標を分離、フィルタ、比較できます。「ブラウザ」または「ブラウザのカテゴリ」のディメンションは、レポートやエクスプローラの他のディメンションと組み合わせることができます(利用可能な場合)。その他のディメンションには、広告枠タイプ、リクエスト タイプ、アプリの所有権ステータスがあります。
ウェブ、アプリ、アプリ内ブラウザのセグメントは、これらのディメンションで次のように表示されます。
目的のトラフィックのセグメント | ブラウザのカテゴリ ディメンション | ブラウザ ディメンション | 広告枠タイプ ディメンション |
リクエスト タイプ |
アプリの所有権ステータス ディメンション |
---|---|---|---|---|---|
アプリ | 該当なし(アプリ) | 任意のブラウザ(Chrome など) | モバイルアプリまたはインストリーム動画 | Mobile Ads SDK または動画タグ | 「所有」、「自分以外が所有」、または「該当なし」 |
アプリ内ブラウザ | アプリ内ブラウザ | アプリ内ブラウザ | ウェブ、AMP、インストリーム動画など | 任意のタグ(モバイル以外の SDK) | 「所有」、「自分以外が所有」、または「該当なし」 |
ウェブ | 任意のブラウザ(Chrome など) | 任意のブラウザとバージョン番号(Microsoft Internet Explorer 11 など) | ウェブ、AMP など | 任意のタグ(モバイル以外の SDK) | 該当なし |
モバイルアプリ トラフィックのターゲティングに使用されるコンテキスト データは、アプリ内のブラウザ トラフィックには存在しない場合があります。たとえば、アプリ内ブラウザではモバイル デバイスのサブモデルは送信されません。デバイス メーカー「iPhone」はターゲットに設定できる場合がありますが、「iPhone 8」はターゲットに設定できません。WebView API for Ads を使用するアプリ向けの完全なターゲティング機能は、近日中に提供される予定です。
アプリ内ブラウザのトラフィックを最適化する
アプリ内ブラウザのトラフィックを調べて把握すると、次のような改善方法が見つかるかもしれません。
- ターゲティングによる直接販売
- テストとアプリ デベロッパー向けガイド
アプリ内ブラウザのトラフィックのターゲティング
アプリ内ブラウザを包括的にターゲティングする
ブラウザ ターゲティング タイプは、アプリ内ブラウザなど、特定のブラウザを使用してオーディエンスにリーチしようとしている場合に便利です。
アプリ内ブラウザ広告枠をターゲティングするには:
- Google アド マネージャーにログインします。
- ターゲティング(広告申込情報ターゲティングなど)を適用する場所に移動します。
- ターゲティング選択ツールで [ブラウザ] を選択し、[アプリ内ブラウザ(x.x)] を追加します。
アド マネージャーでは、アプリ内ブラウザに配信される広告は、アプリのトラフィックではなくウェブ トラフィックと見なされます。アプリ広告はアプリに配信されますが、アプリ内ブラウザには表示されません。つまり、アプリ内ブラウザ(x.x)の広告枠タイプは「モバイルアプリ」にはなりません。アプリとウェブのトラフィックの分類方法やターゲティング タイプの違いについて詳しくは、アプリ内ブラウザの比較をご覧ください。
特定のアプリ内ブラウザアプリをターゲティングする
アプリ単位でアプリ内ブラウザをターゲティングするには:
- Google アド マネージャーにログインします。
- [広告枠]、[アプリ]、[アプリ: アプリ内ブラウザ] の順に選択します。
- 推奨されたアプリの [ターゲティングを有効にする] を選択し、[設定を完了] します。
- [ターゲティングを有効にする] 設定は、ターゲティング選択ツールでのアプリの表示に影響します。オンにすると、アプリはモバイルアプリの [ターゲティング タイプ] に表示されます。
- [設定を完了] を選択すると、モバイルアプリ トラフィックへの広告配信と、アプリ内ブラウザ トラフィックのターゲティングが可能になります。
- アプリ内ブラウザアプリをターゲットに追加するには、[モバイルアプリ] ターゲティング タイプで選択します。
詳しくは、アプリの確認と設定の完了についての記事をご覧ください。
テストとデベロッパー向けガイド
アプリ内ブラウザで広告をホストしている人気のアプリを特定したら、テストページ https://webview-api-for-ads-test.glitch.me を使用して、適切な設定、すべてのシグナル設定、クリック操作をテストすることをおすすめします。アプリ内でこの URL を含むメッセージを検索、共有、送信することで、アプリのブラウザでこの URL に移動してテストを実行できます。
設定
人気のアプリのアプリ デベロッパーに、広告収益化に関する WebView(Android)と WKWebView(iOS)のベスト プラクティスの実施をすすめてください。これらのガイドでは、広告が依存する、以下のようなアプリ内ブラウザ サービスを有効にする手順について説明しています。
- Cookie
- ローカル ストレージ
- 動画の再生
シグナル
アプリ内ブラウザには、広告のパフォーマンスを最適化するシグナルが欠落している場合があります。AdSense、IMA SDK for HTML5、Google パブリッシャー タグは WebView から一部のシグナルを収集しますが、WebView API for Ads を使用すると、アド マネージャーで収集されるシグナルが改善されます。たとえば、WebView API を使用すると、アプリ ID とアプリのバージョンを収集し、各ディメンションで「(該当なし)」と表示されるトラフィックの量を減らすことができます。
WebView のポリシーに準拠するには、独自のアプリ内で WebView API for Ads(Android、iOS)を使用することも 1 つの方法です。人気のあるサードパーティ製アプリのデベロッパーに、広告トラフィックのシグナルの忠実度を高めるために、WebView API for Ads を使用するよう依頼することをご検討ください。
アプリで WebView API for Ads を使用していることを確認するには、アプリ内ブラウザで https://webview-api-for-ads-test.glitch.me#api-for-ads-tests に移動します。
クリック操作
広告主は、コンバージョンにつながる広告枠により多く投資します。広告のクリックが適切に機能しないと、コンバージョン率とパブリッシャー様への支払いに悪影響を及ぼします。
広告をホストするアプリでクリック操作をテストすることをおすすめします。アプリ内ブラウザで https://webview-api-for-ads-test.glitch.me#click-behavior-tests に移動します。Android と iOS でのクリックに関する問題は、アプリ デベロッパーに修正を依頼してください。
アプリ内ブラウザ広告をクリックしたときに、カスタムタブと SFSafariViewController で開かれるようにすることを検討してください。これらのブラウザ技術は、クレジット カード フォームの自動入力や一般的なログイン サービスに対応し、広告主のコンバージョン率を向上させます。
ユーザーが常にフルブラウザを起動して広告主のコンバージョンを達成できるようにするには、アプリ デベロッパーに次の対応を依頼することを検討してください。
- アプリ内ブラウザからデフォルトのブラウザに戻れる方法をユーザーに提供する。
- アプリ内ブラウザを無効にして、デフォルトのブラウザでリンクを開くようにアプリを設定する方法をユーザーに提供する。