プライバシー保護に対するユーザーの期待は高まり続けており、消費者データを収集して広告に使用する方法を変更する新しいポリシーも導入されています。これらの新しいプラットフォーム標準に効果的に適応するには、お客様が利用できる測定ソリューションを理解することが重要です。
このガイドでは、新たに登場した主な iOS 測定手法の概要、それらの手法を使って評価する方法、iOS アプリ キャンペーンの成果をより正確に測定して持続的なパフォーマンスを高めるために今日実施すべきベスト プラクティスをご紹介します。
1. iOS の重要な測定方法を理解する
業界が個々の識別子から脱却するなか、iOS アプリ インストール キャンペーンに対して複数の測定方法が登場しています。
- Google のコンバージョン モデリング: Google 広告の管理画面でレポートされる推定コンバージョンにより、コンバージョンの一部が広告インタラクションに直接リンクできない場合でも、Google AI を利用してキャンペーンのパフォーマンスを評価できます。これにより、広告パフォーマンスの全体像を、より正確に把握することができます。推定オンライン コンバージョンに関する詳細
- Apple の SKAdNetwork: SKAdNetwork を利用すると、アプリ広告主は広告アクティビティ(インプレッション、クリック、アプリ インストールなど)の集計データを測定できるようになります。SKAdNetwork は、アプリの広告主が iOS キャンペーンのパフォーマンスを評価するうえでますます重要になっています。また、今後の SKAdNetwork バージョン 4.0 のアップデートは、特に Safari ブラウザーにおけるウェブからアプリへの検索ネットワーク広告枠の組み込みに関連しているため、アプリ キャンペーンのパフォーマンスをさらに正確に測定できるようになります。その他の重要な更新としては、アプリ内イベント コンバージョンの計測期間を 35 日間のアクティビティに延長されたことが挙げられます。これにより、アプリユーザーの長期的な価値をより的確に評価できます。
2. コンバージョン モデリングと SKAdNetwork のレポートの差異について理解する
Google のコンバージョン モデリングと比較すると、SKAdNetwork には、基盤となるロジックと設定に核となる違いがあるため、この 2 つの手法のレポートに差異が生じる場合があります。
Google 広告の管理画面の推定コンバージョンのレポートの品質と一貫性を向上させるために、Google では SKAdNetwork データとの統合を強化しています。ただし、この 2 つのグループ間で多少の差異が生じるのは正常であり想定内のことです。
コンバージョン モデリングと SKAdNetwork の主な違いは次のとおりです。
- ウェブからアプリまでの測定: これまで SKAdNetwork では、ウェブからアプリへ遷移したユーザー ジャーニーのアトリビューションがサポートされていませんでした。この点は、Safari ブラウザ バージョン 4.0 への更新で改善されつつありますが、完全に解消されるまでには、いくらかの変更と立ち上げ期間が必要となります。
- 計測期間: 現在 SKAdNetwork では、設定できないさまざまな計測期間と、プライバシー重視による遅延などのテクノロジー特有のロジックが活用されています。たとえば、アプリ インストールのクリックスルー コンバージョンの、SKAdNetwork のデフォルトの計測期間は 30 日間に固定されており、インストール後のイベントの SKAdNetwork の計測期間については、さまざまなタイマーとプライバシー基準が関係しています。一方、Google のコンバージョン モデリング技術では、インストール イベントとインストール後のイベントのどちらでも、計測期間を設定することが可能なため、より高い柔軟性、管理性、インサイトが得られます。Google 広告で指定した計測期間の長さによっては、SKAdNetwork と Google 広告のレポートに表示されるデータに差異が生じる場合があります。
- 再ダウンロードの定義: SKAdNetwork は、再ダウンロードの設定のカスタマイズができない特定の定義を利用していますが、Google とほとんどの App Attribution Partner は、再ダウンロードと新規インストールを構成するものについていくつかの設定オプションを提供しています。これらのオプションもレポート間の差異につながる可能性があります。
- 古いバージョンの iOS とアプリ: ほとんどのユーザーは iOS とさまざまなアプリを新しいバージョンに移行していますが、まだ更新していないユーザーもいます。古いバージョンの iOS とアプリを使用している場合も、SKAdNetwork や新しい機能を利用できない可能性があります。
3. インストールとアプリ内イベントの測定に SKAdNetwork を利用する
多くのアプリ広告主は、インストールとアプリ内イベントの測定の両方に SKAdNetwork 指向のアプローチを採用しています。
インストールの測定
SKAdNetwork でインストール数を測定する場合は、次の手順でレポートデータを確認できます。
- Google 広告の管理画面で、[キャンペーン] アイコン をクリックします。
- セクション メニューで [キャンペーン] プルダウンをクリックします。
- [キャンペーン] をクリックします。
- ページ上部のレポート アイコン をクリックします。
- [その他] をクリックします。
- [SKAN コンバージョン] をクリックします。
アプリ内イベントの測定
SKAdNetwork のコンバージョン値スキーマをセットアップして、アプリ内イベントのパフォーマンスを測定したり、インストール後のアクションまたは目標広告費用対効果を重視してキャンペーンをより効果的に最適化したりします。このスキーマにより、ビジネスにとって重要なアプリ内イベントを指定することができます。
コンバージョン値のスキーマ戦略を導入する際は、次の点にご留意ください。
- SKAdNetwork の値の実装方法については、Apple のドキュメントをご覧ください。
- まずは、ビジネスにとって最も重要なアプリ内イベントと価値のシーケンスを考えます。何から手を付ければよいかわからない場合は、ビジネスにとって重要な浅い(使用するためのステップの少ない)アプリ内イベントと深い(使用するためのステップの多い)アプリ内イベントの両方をエンコードするアプリ内ファネル アプローチから始めてみてください。
- コンバージョン値スキーマに、アプリ キャンペーンの最適化で重視するよう計画しているアプリ内イベントが含まれていること、およびこれらのイベントが Google 広告のコンバージョン設定内にも入札可能なコンバージョン イベントとして存在していることを確認してください。
- ビジネスがアプリ内購入の収益を優先している場合は、コンバージョン値の一部を活用して、関連するアプリ内購入の収益のバケットを示します。
- コンバージョン値のスキーマは、Google アナリティクス 4、Google 認定の App Attribution Partner、または直接 Google Ads API を使ってセットアップします。コンバージョン値のスキーマは、いずれか 1 つを選んでセットアップすることをおすすめします。
詳しくは、SKAdNetwork コンバージョン値のスキーマをセットアップするをご覧ください。
4. iOS での測定手法を選択する
コンバージョン モデリングと SKAdNetwork は、アプリ キャンペーンの測定においてそれぞれが重要な役割を果たします。お客様のビジネスに最適な測定方法を判断する際のおすすめは次のとおりです。
アプリ インストール キャンペーンを Google でのみ実施している場合:
キャンペーンの成果を測定するには、推定コンバージョン レポートを評価することをおすすめします。2 つの手法の特徴と違いに基づいて、SKAdNetwork もキャンペーンのパフォーマンスの参考として使用できます。
複数のネットワークでアプリ インストール キャンペーンを運用している場合:
ネットワークをまたいだパフォーマンスをより正確に評価するには、Google アナリティクス 4 または Google 認定の App Attribution Partner を通じて、未処理のクロスチャネル SKAdNetwork レポートを使用することをおすすめします。
5. iOS アプリ キャンペーンの測定と最適化のベスト プラクティスを実践する
アプリの測定の精度を上げるには:
- SKAdNetwork フレームワーク内でアプリをセットアップすることが理にかなっているかどうかを評価します。
- インストールを測定するには、アプリを SKAdNetwork(インストール測定用)と統合します。Google アナリティクス 4 ソリューションを使用すると、アプリが SKAdNetwork アトリビューションに登録されるため、「初回起動」コンバージョンを測定できます。App Attribution Partner などの別の測定 SDK を使用するか、手動で、SKAdNetwork インストール測定を設定することもできます。
- インストール後のイベントの測定については、コンバージョン値のスキーマをセットアップします。この作業は、Google アナリティクス 4、Google 認定の App Attribution Partner、または直接 Google Ads API を介して行うことができます。スキーマをセットアップする際は、アプリ キャンペーンの最適化で重視することを計画している入札対象のイベントを含めてください。
- iOS のアプリ インストール キャンペーンで運用するキャンペーンを 8 件以下に整理します。キャンペーンが増えると SKAdNetwork 内の測定が不明瞭になる可能性があるため、キャンペーンを 8 件以下に整理することにより、最適なパフォーマンスが確保され、正確な SKAdNetwork キャンペーン レポートがサポートされます。
キャンペーンの最適化とパフォーマンスの改善:
- Apple のドキュメントを確認し、ATT プロンプトがアプリに適しているかどうかを評価します。また、ウォームアップ画面か説明画面を作成して、ATT 同意プロンプトで同意を求める前に表示することもできます。説明画面を用意すると、広告目的で収集された情報がアプリでどのように使用されるのか、ユーザーにより正確に理解してもらうことができます。ユーザーがプロンプトを承諾すると、測定されたコンバージョンが増加するため、コンバージョン モデリングとキャンペーンの最適化が改善されます。詳しくは、Firebase 向け Google アナリティクスの SDK を使って説明画面を作成して表示するをご覧ください。
- アプリに多くのユーザーがログインしている場合、または同意済みのメール アドレスを収集している場合は、Firebase 向け Google アナリティクス SDK を使用して、Google のオンデバイス コンバージョン測定を有効にします。この機能により、ユーザーデータのプライバシーを維持しながら、コンバージョン モデリングが改善し、iOS アプリ キャンペーンからのアプリ インストールとアプリ内ユーザー行動のレポートの精度が向上します。
- パフォーマンスを最大化するには、目標広告費用対効果(tROAS)ではなく、目標インストール単価(tCPI)と目標コンバージョン単価(tCPA)の入札戦略を使用します。目標インストール単価と目標コンバージョン単価による入札は、目標広告費用対効果による入札と比べて変動が少ないため、パフォーマンスを安定させることができます。
- すべての iOS アプリ キャンペーンのパフォーマンスを注意深くモニタリングします。iOS 14 の変更前に iOS アプリ インストール キャンペーンを実施していた場合、今回の変更に伴い、掲載結果の変動や低下が発生する恐れがあります。アプリ エンゲージメント キャンペーンにおいては、リーチが大幅に縮小することが予想されます。アプリ キャンペーンから最大限の成果を引き出すため、必要に応じて予算や入札単価設定を調整してください。
6. アプリ キャンペーンの一般的なベスト プラクティスを適用する
- 重視する項目を絞って最適な掲載結果が得られるよう、広告掲載の目標に合わせて iOS アプリ キャンペーンを設定します。
- コンバージョン目標(インストールの促進なのか、アプリ内アクティビティの促進なのかなど)に基づいて、適切な入札単価設定方法を選択します。詳しくは、アプリ キャンペーンでの入札単価の設定についてをご覧ください。
- クリエイティブ アセットのベスト プラクティスについての記事を参考にします。
- Google アナリティクス 4 からイベントをインポートするか、サードパーティの分析ツールと Google 広告アカウントをリンクして、初回起動、アプリ内購入、カスタム イベントをトラッキングします。
- iOS 向けのユニバーサル リンクを使用すると、モバイル デバイスのユーザーをアプリ内の関連ページに直接誘導できます。詳しくは、ディープリンクについてをご覧ください。
- キャンペーンのパフォーマンスに基づいて入札単価と予算を調整します。詳しくは、目標に応じてパフォーマンスを評価するをご覧ください。