Google Vault は管理者および法務担当者向けです。Vault を使用するには、事前に Google Workspace 管理者にアカウントを設定してもらう必要があります。管理者を確認する
この記事では、Google Vault で Gmail のメールを保持する方法について説明します。
組織の情報ガバナンス計画の一環として、Gmail のメールが Google Vault に保持される期間を管理できます。保持ルールを使用すると、メッセージをいつまで保持し、いつ削除するかを設定することができます。
特定の条件に一致するデータを一定期間にわたって保持するには、カスタム保持ルールを作成します。ライセンスを付与されたすべてのアカウントのすべてのサービスデータを一定期間にわたって保持するには、デフォルトの保持ルールを作成します。
Gmail の保持に関する重要なお知らせ
保持ルールを設定する前に、データ保持の仕組みおよび Vault でサポートされる Gmail のメールをお読みになることを強くおすすめします。
Gmail におけるメール保持の主な仕組み
- Gmail では、記録保持(リティゲーション ホールド)の対象となっているメールは、該当するすべての保持期間が終了しても完全には削除できません。
- Gmail のカスタム保持ルールは、デフォルトの保持ルールよりも常に優先されます。
- Gmail のメールに複数のカスタム保持ルールが適用されている場合は、最後に終了する保持期間のルールに従ってメールが保持されます。
- Gmail の 30 日間の保存ポリシーによって、メールが完全に削除されるタイミングが遅れる場合があります。
Gmail におけるメール保持のその他の仕組み
保持できるデータ対象:
- 組織内のユーザーが送信、受信、または下書きしたメールとその添付ファイル
- 組織内のユーザーが送信した情報保護モードのメール
対象外:
- リンクされたファイル
- メール レイアウト
- Google カレンダーや Google ドキュメントなどの Google サービスから送信されたメール(包括的なメール ストレージをオンにしている場合を除く)
- 動的メールの動的コンテンツ
- 破棄された下書きと自動保存された下書きの各バージョン
Gmail でメールが完全に削除されるためには、対象となるメールが次に示す Vault と Gmail の両方の条件を満たしている必要があります。
- いかなる保持ルールによっても保持されていない。
- 記録保持の対象になっていない。
- Gmail のシステムによって生成された
^deleted
ラベルが 30 日間以上付いている。
保持ルールまたは記録保持の対象となっているメールを Gmail が完全に削除することは Vault で許可されません。該当するすべての保持期間と記録保持が終了すると、^deleted
ラベルが付いている期間に基づいて、メールを完全に削除できるかどうかが Gmail で評価されます。
^deleted
ラベルが適用されるタイミング
Gmail では、Google システムからの削除対象となったメールに ^deleted
ラベルが適用されます。次のいずれかのアクションが発生すると、このラベルがメールに付けられます。
- Gmail ユーザーがゴミ箱を空にするか、ゴミ箱内のメールを選択して [完全に削除] をクリックした。
- Gmail でゴミ箱に 30 日間保存されていたメールが自動的に削除された。
^deleted
ラベルがまだ付いていないメールについて保持期間が終了した。- Gmail ユーザーが下書きメールを破棄した。
^deleted
ラベルが付いたメールは Gmail ユーザーには非表示となり、これを復元するには Google Workspace 管理者のサポートが必要になります。ただし、このラベルが付いたメールは、完全に削除されるまでは Vault を使って検索および書き出しを行うことができます。
Gmail の 30 日間の保存ポリシー
Gmail にはメールの保存ポリシーがあり、このポリシーに基づいて、^deleted
ラベルが適用されたメールは少なくとも 30 日間保持されます。その 30 日の間に Vault のなんらかの保持ルールの有効期限が切れた場合でも、このポリシーが優先されます。
メールスレッドの場合、保持ルールは次のように適用されます。
- スレッド内の 1 通のメールが保持ルールまたは記録保持によって保持されている場合は、スレッド全体が保持されます。
- ラベルに基づく保持ルールでは、保持のため、スレッド内の最後にラベル付けされたメールの日付が使用されます。
たとえば、保持ルールで project-A というラベルを使ってメールを 365 日間保持していて、スレッド内の先頭のメールにこのラベルが付いている場合は、先頭のメールが送信された日から 365 日間にわたってスレッド内のすべてのメールが保持されます。スレッド内の後続のメールに project-A のラベルが付けられた場合は、そのメールが送信された日から 365 日間にわたってスレッド内のすべてのメールが保持されます。保持ルールが期限切れになり、Gmail でラベル付きのメールが完全に削除された後は、ラベルのないメールもすべて完全に削除されるまでに最大 24 時間の遅延が生じる場合があります。
Gmail ラベルに基づいてカスタム保持ルールを作成した場合、そのルールはネストされたサブラベルには適用されません。サブラベルは、ルールの基になるラベルが直接付いていないため、含まれません。
たとえば、[領収書] ラベルと、[領収書] の下に [旅行] というサブラベルがあるとします。[領収書] に保持ルールを設定した場合、[旅行] の付いたメッセージには直接 [領収書] ラベルが付いていないため、これらのメッセージは保持されません。
Gmail のメールに添付されているファイルを [ドライブに追加] 機能を使用してドライブに追加すると、ドライブでそのファイルのコピーが作成されます。Gmail のメールと添付ファイルは、Gmail の保持ポリシーの対象となります。ドライブ内にコピーされたアイテムは、ドライブの保持ポリシーの適用対象となります。
Gmail の保持ルールの例とその影響
デフォルト ルールの例: すべてのメールを無期限に保持するこのデフォルト ルールでは、選択した組織部門で Gmail のすべてのメールが無期限に保持されます。ユーザーがメールを削除することはできます。ゴミ箱に入ったメールは 30 日経過すると、またはユーザーがゴミ箱を空にすると削除されます。ただし、そのように削除したメールは Vault 管理者による検索および書き出しが可能です。
ルールの設定
- 保存期間: 期限なし
送受信メールへの影響
送受信メールに対するユーザーの操作 | Gmail で ^deleted ラベルが適用されるタイミング |
Gmail でメールが完全に削除されるタイミング |
---|---|---|
ユーザーがメールに対して何もしない |
なし | なし |
ユーザーが送信から 1 日後のメールをゴミ箱に移動し、ゴミ箱を空にする |
送信から 1 日後 | なし |
ユーザーが送信から 1 日後のメールをゴミ箱に移動する(ゴミ箱を空にはしない) |
送信から 31 日後(Gmail でメールがゴミ箱から自動的に削除されるとき) | なし |
下書きメールへの影響
下書きメールに対するユーザーの操作 | Gmail で ^deleted ラベルが適用されるタイミング |
Gmail でメールが完全に削除されるタイミング |
---|---|---|
ユーザーが下書きメールを作成するが、送信しない |
なし | なし |
ユーザーが下書きメールを作成し、送信せずに破棄する |
ユーザーが下書きを破棄するとき | ユーザーが下書きを破棄してから 30 日後(Gmail の 30 日間の保存ポリシーに基づく) |
ルールの設定
- 保存期間: 365 日
- 保持期限の終了後、完全に削除済みのメールのみをパージする
送受信メールへの影響
送受信メールに対するユーザーの操作 | Gmail で ^deleted ラベルが適用されるタイミング |
Gmail でメールが完全に削除されるタイミング |
---|---|---|
ユーザーがメールに対して何もしない |
なし | なし |
ユーザーが送信から 1 日後のメールをゴミ箱に移動し、ゴミ箱を空にする |
送信から 1 日後 | 送信から 365 日後 |
ユーザーが送信から 1 日後のメールをゴミ箱に移動する(ゴミ箱を空にはしない) |
送信から 31 日後(Gmail でメールがゴミ箱から自動的に削除されるとき) | 送信から 365 日後 |
ユーザーが送信から 360 日後のメールをゴミ箱に移動し、ゴミ箱を空にする | 送信から 360 日後 | 送信から 390 日後(Gmail の 30 日間の保存ポリシーに基づき、ゴミ箱を空にしてから 30 日後) |
ユーザーが送信から 400 日後のメールをゴミ箱に移動する(ゴミ箱を空にはしない) | 送信から 430 日後(Gmail でメールがゴミ箱から自動的に削除されるとき) | 送信から 460 日後(Gmail の 30 日間の保存ポリシーに基づき、Gmail によってメールがゴミ箱から削除されてから 30 日後) |
下書きメールへの影響
下書きメールに対するユーザーの操作 | Gmail で ^deleted ラベルが適用されるタイミング |
Gmail でメールが完全に削除されるタイミング |
---|---|---|
ユーザーが下書きメールを作成するが、送信しない |
なし | なし |
ユーザーが下書きメールを作成し、送信せずに破棄する |
ユーザーが下書きを破棄するとき | ユーザーが下書きを破棄してから 30 日後(Gmail の 30 日間の保存ポリシーに基づく) |
このルールを使用すると、ユーザーが削除していない下書きとメールを含め、選択した組織部門のすべてのメールを 365 日後に完全に削除することを Gmail に許可することになります。
ルールの設定
- 保存期間: 365 日
- 下書きを除外する: オフ(ediscovery.google.com のみ)
- 期間終了後の操作: Gmail のメールボックス内のメールと完全に削除されたメールがパージされます。このルールにより下書きもパージされます] を選択
送受信メールへの影響
送受信メールに対するユーザーの操作 | Gmail で ^deleted ラベルが適用されるタイミング |
Gmail でメールが完全に削除されるタイミング |
---|---|---|
ユーザーがメールに対して何もしない |
送信から 365 日後(保持期間が終了するとき) | 送信から 395 日後(Gmail の 30 日間の保存ポリシーに基づき、保持期間が終了してから 30 日後) |
ユーザーが送信から 1 日後のメールをゴミ箱に移動し、ゴミ箱を空にする |
送信から 1 日後 | 送信から 365 日後(保持期間が終了するとき) |
ユーザーが送信から 360 日後のメールをゴミ箱に移動し、ゴミ箱を空にする | 送信から 360 日後(ユーザーがゴミ箱を空にするとき) | 送信から 390 日後(Gmail の 30 日間の保存ポリシーに基づき、ゴミ箱を空にしてから 30 日後) |
ユーザーが送信から 360 日後のメールをゴミ箱に移動する(ゴミ箱を空にはしない) | 送信から 365 日後(保持期間が終了するとき) | 送信から 395 日後(Gmail の 30 日間の保存ポリシーに基づき、保持期間が終了してから 30 日後) |
下書きメールへの影響
下書きメールに対するユーザーの操作 | Gmail で ^deleted ラベルが適用されるタイミング |
Gmail でメールが完全に削除されるタイミング |
---|---|---|
ユーザーが下書きメールを作成するが、送信しない |
送信から 365 日後(保持期間が終了するとき) | 送信から 395 日後(Gmail の 30 日間の保存ポリシーに基づき、保持期間が終了してから 30 日後) |
ユーザーが下書きメールを作成し、送信せずに破棄する |
ユーザーが下書きを破棄するとき | ユーザーが下書きを破棄してから 30 日後(Gmail の 30 日間の保存ポリシーに基づく) |
Gmail のカスタム保持ルールを設定する
- vault.google.com にログインします。
- [保持] [カスタムルール] [作成] をクリックします。
- サービスとして [Gmail] を選択し、[次へ] をクリックします。
- ルールの適用先となる組織部門を選択します。該当する欄をクリックして選択ツールを開き、組織部門をクリックします。
- [次へ] をクリックします。
- (省略可)このルールの適用対象となるためのメッセージの必須条件を選択します。
- [送信日] の値を入力します。開始日のみを指定すると、このルールはその日以降に送信されたすべてのメッセージに適用されます。終了日のみを指定すると、このルールはその日以前に送信されたすべてのメッセージに適用されます。
- メッセージに一致する必要があるキーワードを入力します。注:
- ワイルドカード(*)を除く、サポートされているすべての検索演算子を使用できます。
- キーフレーズまたは値が -1000% などのようにハイフンで始まる場合は、
NOT
演算子として解釈されないよう引用符で囲みます。 is:chat
を使用して Google Chat のチャット メッセージに Gmail の保持ルールを適用することはできません。チャット メッセージの保持ルールを設定するには、Chat の保持ルールを設定します。
Vault 検索で条件をテストして、想定したデータに一致することを確認するようおすすめします。
- [続行] をクリックします。
- メッセージの保持期間を選択します。
- このルールの対象となるメッセージを永続的に保持するには、[期限なし] を選択します。
- 一定期間が経過したメッセージを破棄するには、[保持期間] を選択し、1~36,500 の範囲で日数を入力します。
- 保持期間を設定する場合は、保持期間の終了後にメッセージをどのように処理するのかを選択します。
- ユーザーの [ゴミ箱] からすでに削除されているメッセージだけを完全に削除するには、1 番目のオプションを選択します。
- 未削除のメッセージを含むすべてのメッセージを完全に削除し、下書きとメール テンプレートを除外する場合は、2 番目のオプションを選択します。
- 未削除のメッセージ、下書き、メール テンプレートを含むすべてのメッセージを完全に削除するには、3 番目のオプションを選択します。
警告: 新しいルールを設定すると、保持期間を過ぎているデータのパージが Gmail で直ちに開始されます。削除の対象となるデータの中には、ユーザーが保持しておきたいデータが含まれている可能性があるため、ルールを適切に設定したことを確認してから、次の手順に進んでください。 - [作成] をクリックします。保持期間を設定する場合は、確認のチェックボックスをオンにして [同意する] をクリックします。
Gmail のデフォルトの保持ルールを設定する
デフォルトの保持ルールは、カスタムルールまたは記録保持の対象とならない Gmail のメールに適用されます。
- vault.google.com にログインします。
- [保持] をクリックします。デフォルト ルールのリストが表示されます。
- Gmail アイコン をクリックします。
- メッセージの保持期間を選択します。
- このルールの対象となるメッセージを永続的に保持するには、[期限なし] を選択します。
- 一定期間が経過したメッセージを破棄するには、[保持期間] を選択し、1~36,500 の範囲で日数を入力します。
- 保持期間を設定する場合は、保持期間の終了後にメッセージをどのように処理するのかを選択します。
- 削除済みのメッセージのみをパージするには、1 番目のオプションを選択します。
- 未削除のメッセージ、下書き、テンプレートを含むすべてのメッセージをパージするには、2 番目のオプションを選択します。
警告: ルールを設定すると、保持期間を過ぎているデータのパージが Gmail で直ちに開始されます。削除の対象となるデータの中には、ユーザーが保持しておきたいデータが含まれている可能性があるため、ルールを適切に設定したことを確認してから、次の手順に進んでください。 - [保存] をクリックします。ルールの影響を理解しているかどうかを確認するメッセージが表示されます。チェックボックスをオンにし、[承諾] をクリックしてルールを保存します。