検索広告の入札単価設定をさらにスマートに

Google 広告の自動入札機能


Google 広告の自動入札機能は、パフォーマンス目標に応じて自動的に入札単価を設定できる、エンタープライズ クラスのソリューションです。中でもスマート自動入札と呼ばれる自動入札戦略は、コンバージョン数やコンバージョン値を基準とする最適化を、機械学習によって行う点が特長です。ひとつひとつのオークションごとに自動で正確な入札単価を設定することにより、既存のパフォーマンス目標と同等またはそれ以上の費用効率で、コンバージョン数やコンバージョン値を増やすことができます。スマート自動入札の中核的な機能は次の 3 つです。

  • 完全なオークションごとの自動入札
  • 検索クエリレベルでの適応学習
  • 豊富なユーザー シグナルとクロスシグナル分析

それぞれ詳しく見ていきましょう。

Google の広告主様の 80% 以上が自動入札機能を利用

出典: Google 内部データ(グローバル・2021 年 3 月 16 日~2021 年 4 月 12 日)

Clock icon 完全なオークションごとの自動入札

コンバージョン数またはコンバージョン値ベースの入札戦略においては、スマート自動入札は完全なオークションごとの自動入札を実現しています。これは、入札単価を 1 日に何度か調節するのではなく、ひとつひとつのオークションごとに最適な入札単価を設定することを指します。これにより、入札単価をさらに高精度に最適化するとともに、各ユーザーに固有の検索コンテキストに合わせて入札単価を調整することが可能です。Google 広告の入札アルゴリズムは、ユーザー全般のパフォーマンス傾向に合わせて入札単価を調整するだけではなく、各オークションの時点でのコンテキスト的なシグナル(時間帯や表示中の広告クリエイティブ、あるいはユーザーのデバイス、所在地、ブラウザ、OS など)を評価して、入札単価に反映します。

オークションのたびにコンバージョン獲得の可能性を評価することにより、入札単価の差別化を図り、精度の高い最適化を実現できます。金融業の広告を例に考えてみましょう。たとえば「iOS ユーザーは当座預金口座を開設することが多い」「支店カバー率が高い都市のスマートフォン ユーザーは来店率が高い」といった傾向があるとします。オークションごとの自動入札なら、Google 広告がこういったシグナルを検出して、コンバージョン率やコンバージョン値をより正確に予想することにより、ひとつひとつの検索に対して的確な入札額を設定することができます。

オークションごとの自動入札で入札単価設定の頻度と精度がさらに向上

オークションごとの自動入札が登場する前は、各キーワードの入札単価を手動で個別設定するのが一般的でした。

個別単価設定: 各キーワードの入札単価を手動で個別設定する場合、Google 広告管理画面での手動設定、パフォーマンスに基づくルールによる設定(例: インプレッション シェアが X% 未満になったら入札単価を Y% 引き上げる)、API の使用といった方法がありました。時間の制約があるため、最適化を行う際は、一部のキーワードのみ(たとえばパフォーマンス上位のキーワード、特定の商品カテゴリのキーワードなど)を対象とするのが一般的でした。

しかしながら、利用できるデータが大幅に増えた現在では、各ユーザーの固有のコンテキストに応じて手動で入札単価を設定するのは、広告主様にとって複雑な作業となっています。オークションごとの自動入札なら、コンテキスト シグナルを反映した入札単価をその都度設定できます。

Google 広告によるオークションごとの自動入札: Google 広告のスマート自動入札なら、機械学習アルゴリズムにより、ひとつひとつのオークションに対して入札単価を最適化することができます。最も精密で効果的な入札単価の設定方法と言えるでしょう。

検索広告 360 をご利用の場合は、Floodlight コンバージョンを Google 広告によるオークションごとの自動入札と組み合わせてキャンペーンを最適化できます。

Google 広告スマート自動入札戦略を、サードパーティの検索広告管理ソリューションや社内 API と組み合わせて、入札パラメータを動的に調整し、複数のアカウントや検索エンジンをまたいだデータ集計を行うことも可能です。

Gear icon検索クエリレベルでの適応学習

機械学習アルゴリズムは、豊富なコンバージョン データを基盤に精度の高い入札アルゴリズムを構築し、入札額に応じたパフォーマンスを予測します。高ボリュームのキーワードならモデリングに使用できるコンバージョン データは潤沢にありますが、アカウントには低ボリュームのキーワードや、参照できるパフォーマンス履歴の少ない新しいキーワードも含まれることが一般的です。こういった低ボリュームのキーワードについては、入札ソリューションは機械学習モデルによってコンバージョン率を予想し、その時点で最善と考えられる入札単価を設定します。

たとえば、あるキーワードのコンバージョン率モデルを構築するため、入札ソリューションがさまざまなレベルの入札額を試すことがあります。しかし、こうしてキーワードごとのデータを集めている間は、必ずしも良いパフォーマンスは得られず、検索ボリュームによってはデータ収集が完了するまでに相当な時間がかかります。これ以外に低ボリューム キーワードのコンバージョン率モデリングを行う方法としては、同じキーワードが別のマッチタイプで指定されている場合のデータや、上位の広告グループやキャンペーンのパフォーマンス データを「借りてくる」手法が一般的です。

スマート自動入札はこの手法をさらに発展させ、アカウント全体の検索クエリレベルのデータを活用します。クロスアカウント コンバージョン トラッキングをご利用であれば、クライアント センター(MCC)アカウントの管理下にあるクエリレベルのデータをすべて活用可能です。これにより、入札アルゴリズムが判断材料として使用できるデータが大幅に増え、キーワード レベルのコンバージョン データが不十分な場合も、不安定なパフォーマンスを避けることができます。

クエリレベルの学習が入札の改善に役立つ理由

Google 広告の入札アルゴリズムは、アカウント構造内のキーワードの位置付けに制約されません。広告グループやキャンペーンを横断して、検索クエリレベルのコンバージョン データを活用します。この特性は、フレーズ一致キーワードや部分一致キーワードにおいて特に効果を発揮します。これらのマッチタイプでは、同じキーワードにさまざまな検索クエリが一致するため、キーワード レベルの画一的な入札単価では検索内容によるコンバージョン率の違いに対応できません。

また、新しいキーワードを追加した場合や、キーワードを別の広告グループに移動させた場合について考えてみましょう。このような場合でも、Google 広告の入札アルゴリズムは、一からパフォーマンスを学習し直す必要はありません。キーワード レベルではなく検索クエリレベルで学習するため、検索クエリがキャンペーンの他の部分のキーワードとすでに一致している場合、その学習結果がアカウント全体に適用され、より的確な入札単価の判断に活かされます。

Magnifying glass icon豊富なユーザー シグナルとクロスシグナル分析

個々の検索には千差万別の背景があります。最適な入札単価を設定するには、その検索クエリに固有のコンテキスト シグナルを、オークションごとに反映することが重要です。たとえば時間帯、リマーケティング リストへの登録有無、ユーザーの使用デバイスや地域などは、最適な入札単価を決めるうえで重要な項目と言えます。こういったシグナルをオークションごとに評価することに加え、スマート自動入札はユーザーが使用している OS、ウェブブラウザ、言語設定などさまざまな追加シグナルを考慮し、プラットフォームやユーザーによるパフォーマンスの差を織り込んだ最適化を行います。豊富なコンテキスト情報により、スマート自動入札は個々のオークションのコンバージョン発生率を高い精度で割り出し、最適な入札単価を設定します。次のリストは、スマート自動入札が入札単価を最適化する際に予測材料として使用する主なシグナルの概要をまとめたものです。

コンテキスト シグナル 説明
デバイス 検索が行われたデバイスの種類(パソコン、タブレット、スマートフォン)に応じて入札単価を最適化

広告主: 自動車ディーラー

「自動車ディーラー 店舗」というクエリがパソコンからの検索かスマートフォンからの検索かによって入札単価を調整します。

地域 ユーザーの所在地や検索対象を広告自体のターゲット地域よりも詳しく(市区町村レベルまで)反映して入札単価を最適化

広告主: 銀行

ターゲット地域が東京都全体でも、「当座預金口座 開設」という検索が都内のどこで行われたかによって入札単価を調整します(例: 新宿区と八王子市の支店カバー率の差を反映)。

時間帯 / 曜日 ユーザーが検索を行った時間帯と曜日(現地時間)を考慮

広告主: 喫茶店

検索が行われたのが月曜日の午前 7 時(出勤前)か正午頃(ランチタイム)かによって入札単価を調整します。

リストベースのオーディエンス(検索広告向けリマーケティング リスト(RLSA)、カスタマー マッチ、類似ユーザー) 検索広告向けオーディエンス リストへの登録有無を考慮

広告主: オンライン小売業者

過去のサイト訪問時に特定の商品を閲覧したことがあるかどうか、アップロードしたポイント会員リストに載っているかどうか、既存顧客とプロフィールに共通点があるかどうかなどを入札単価に反映します。最後に接触があってからの期間も考慮されます。

実際の検索語句 検索クエリと一致したキーワードだけでなく、広告の表示につながった検索クエリ自体の内容(テキスト)をもとに入札単価を最適

広告主: 靴の小売店

キーワード「ブーツ」と一致した実際の検索クエリが「革 ブーツ」か「ブーツ 修理」かによって、入札単価を調整します。

広告クリエイティブ 同じ検索クエリに対して表示可能な広告クリエイティブが複数ある場合に、表示されるのはどのクリエイティブか、そのクリエイティブのリンク先がモバイルアプリかどうかによって入札単価を最適化

広告主: オンライン旅行会社

表示される広告クリエイティブが「最新のプラン」か「人気の保養地」か、あるいはクリエイティブのリンク先がモバイルサイトまたはアプリかなどを考慮し、その検索内容との組み合わせで期待できるコンバージョン発生確率に応じて入札単価を調整します。

表示言語 ユーザーの言語設定に応じて入札単価を最適化

広告主: スペイン語学習サイト

「新しい言語 習得」という検索クエリがあった場合に、ユーザーの Google 言語設定が英語かスペイン語かによって入札単価を調整します。

ブラウザ 検索が行われたブラウザの種類によって入札単価を最適化

広告主: ソフトウェア企業

「mac ソフトウェア」という検索があった場合に、ユーザーの使用ブラウザが Safari か Chrome かによって入札単価を調整します。

オペレーティング システム(OS) 検索したユーザーの使用 OS によって入札単価を最適化

広告主: スマートフォン用アクセサリの販売業者

「スマホ ケース」という検索があった場合に、ユーザーの使用デバイスの OS が Android か iOS かによって入札単価を調整します。

検索ネットワーク パートナー 広告が表示される検索パートナーの種類によって入札単価を最適化

広告主: 日用品ブランド

検索が行われたパートナー サイトが、関連性の高い e コマースサイトかニュースサイトかによって入札単価を調整します。

モバイルアプリの評価とクチコミ アプリのユーザー評価やクチコミ件数によって入札単価を最適化

広告主: ゲーム企業

広告主様のアプリが受けている評価とクチコミの件数に応じて入札単価を調整します。

複数のシグナルの組み合わせ

デバイスや地域といった個別シグナルに手動で設定する入札単価調整は、入札単価の精度を高める第一歩として効果的な機能です。しかしスマート自動入札は、従来型のシグナル分析の先を行きます。検索のコンテキストは 1 種類のシグナルで決まるわけではありません。スマート自動入札なら、何十億通りものシグナルの組み合わせからコンバージョン率に影響するパターンを見出し、入札単価に反映することができます。

個別のシグナル評価とクロスシグナル分析の違い

入札単価調整は、デバイス、地域、時間帯といった個別シグナルに対して、集計されたパフォーマンス データをもとに調整を加える機能です。たとえば、モバイルでの平均コンバージョン率とパソコンおよびタブレットでの平均コンバージョン率を比較し、それをもとにモバイル向けの入札単価に調整比を設定します。

このようにデータを集計して平均パフォーマンスを評価する手法は、不十分なデータに基づく入札単価調整を避けるのには役立ちますが、一方で、個々のオークションに存在するコンバージョン期待値の微妙な違いを見落としてしまう面もあります。たとえばある住宅ローン会社で、「モバイルでの平均コンバージョン率はパソコンおよびタブレットでの平均コンバージョン率より 20% 低い」というデータをもとに、モバイルの入札単価調整を -20% に設定したとします。しかし、実は時間帯によってはモバイルでのコンバージョン率のほうが高い(たとえば朝の出勤中にスマートフォンで住宅ローンについて情報収集しているユーザーからは高いコンバージョン率が期待できる)とすればどうでしょうか。この方法では適切な調整になりません。

他の入札単価調整(たとえば地域に基づく入札単価調整)を組み合わせた場合はどうでしょうか。個別に計算した各シグナルの調整比を単純に掛け合わせても、シグナルの組み合わせによる相互作用を反映した調整にはなりません。もともと高いキーワード入札単価に、大幅な引き上げ調整が何種類も重なると、不合理に高い入札額になってしまうこともあります。

スマート自動入札なら、シグナル間の相互作用を評価して、コンバージョン率に影響する重要な相関関係を識別することができます。コンバージョン パフォーマンスの予測に最も効果的なシグナルの組み合わせを割り出し、入札アルゴリズムに加味することにより、複数のシグナルの関係を考慮した総合的な最適化が可能です。

入札単価調整で使用できるシグナル スマート自動入札専用のシグナルの例
  • 時間帯
  • リマーケティング リスト
  • デバイス
  • 地域
  • OS
  • アプリ
  • ブラウザ
  • 広告クリエイティブ
  • 言語
  • 実際の検索語句
  • 検索パートナー

スマート自動入札は、複数のシグナルを組み合わせて使用します。たとえば、オークションのたびに地域、OS、言語をすべて考慮した入札単価を設定できます。

 

 

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