Google 広告の中核にあるのは、広告主様と、広告主様が提供する商品やサービスを探しているユーザーとをつなぐ力です。たとえば前年比で 5,000% 以上も増加した「takeout restaurants」(テイクアウトの飲食店)の検索1。あるいは 1 日の検索数の 15% を占める、Google が見たことのない検索語句2。ユーザーは、目的の商品やサービスが見つかることを常に期待して検索を行います。
長年にわたり Google は、広告主様が顧客にリーチしやすくなるよう、ユーザーの意図を理解する技術の改善に努めてきました。たとえば、広告のキーワードと検索語句は意味に基づくマッチングが可能になっており、インテント マッチは(特にスマート自動入札と組み合わせることで)さらに広告のパフォーマンスを高めやすい動作になっています。こうした改善を経て見えてきたのは、フレーズ一致と絞り込み部分一致がしばしば同様の用途で使用されているということ、そして、両者を組み合わせれば広告主様に適したさらに多くのユーザーに向けて広告を表示できるということです。
以上を踏まえ、ユーザーの検索語句のばらつきに左右されずさらに容易にターゲット顧客にリーチしていただけるよう、フレーズ一致と絞り込み部分一致の動作を変更することになりました。この変更は 2 週間後から順次適用されます。
マッチタイプの簡素化
現在、広告を表示するキーワードのマッチタイプには以下の種類があります。
- 完全一致(精度重視)
- インテント マッチ(リーチ重視)
- フレーズ一致および絞り込み部分一致(精度とリーチのバランス型)
今回のアップデートでは、絞り込み部分一致の利点をフレーズ一致に取り込むことで、制御性とリーチをさらに改善します。アップデート後のフレーズ一致では、語句の意味において語順が重要となる場合は従来どおり語順を考慮しつつ、さらに従来は絞り込み部分一致でしか捕捉できなかったような検索もカバーします。これにより、ユーザーへのリーチとアカウントでのキーワード管理がさらに容易になります。
アップデート後は、フレーズ一致を使うだけで、不要な検索内容の混入を心配することなく、求める検索内容を幅広く捕捉できます。たとえば引っ越しサービスの広告で、東京から神奈川への引っ越しに関心があるユーザーにリーチしたいとします。アップデート後のフレーズ一致なら、たとえば東京から神奈川への引っ越しについて検索しているユーザーに広告を表示しても、逆に神奈川から東京へへの引っ越しについて検索しているユーザーは広告表示の対象にはなりません。
このアップデートは、キーワード管理の合理化と時間の節約にもつながります。家具小売の Wayfair 社で SEM マネージャーを務める Ian Taylor 氏からは、次のようなコメントが寄せられています。「この 2 種類のマッチタイプは使用場面が重なっている部分も多かったので、今回の簡素化によってアカウント管理の労力を軽減できました。おかげで、より大局的なビジネス目標、たとえばお客様が素敵な家づくりのために求める品物を見つけやすい環境の構築に注力することができます。」
以下、アップデートによるマッチング動作の変化を示す例をいくつかご紹介します。
絞り込み部分一致キーワード |
アップデート後は一致しない検索語句 |
+履歴書 +サービス |
履歴書に書いたほうがいい顧客サービススキルは |
+一番 +スニーカー |
一番安い幼児向けスニーカー |
+使ったことがある +プリンタ |
デイジー ホイール プリンタを使ったことがある企業 |
フレーズ一致キーワード |
アップデート後に一致する検索語句 |
"ザンビアの観光" |
ザンビアの観光スポット |
"長袖ドレス" |
レースの長袖ドレス |
"女性用ブーツ" |
サイズ 37 の新品女性用ブーツ |
絞り込み部分一致の今後の扱い
絞り込み部分一致は段階的にサポートを終了してまいります。一連の変更による影響は広告主様によって異なると思われますので、できるだけ混乱を招かないよう、数か月かけて徐々に移行を進めていきます。具体的には次のようなスケジュールを予定しています。
- 2 月中旬より、フレーズ一致と絞り込み部分一致の両方について、新しいマッチング動作への移行を開始します3。動作変更は両方のマッチタイプで行われるため、お客様側で対応が即座に必要となることはありません。パフォーマンス データはそのまま残っており、既存キーワードのマッチタイプを切り替える必要はありません。
- 7 月には新しい動作のロールアウトが全世界で完了し、その時点で絞り込み部分一致キーワードの新規作成ができなくなります。既存の絞り込み部分一致キーワードは引き続き広告配信に使用可能ですが、挙動はアップデート後のものですのでご注意ください。このため、今後キーワードを新たに作成する際は、フレーズ一致を使用することをおすすめします。
これらの変更については、ロールアウトとともに随時お知らせしてまいります。変更の詳細については Google 広告ヘルプセンターをご覧ください。
キャンペーンで成果を上げるために
予定されているアップデートを最大限の成果につなげていただけるよう、以下をおすすめします。
- パフォーマンスを注視し、必要なら予算の振り分けを調整する: 動作変更によってトラフィックが変動することが予想されるため、必要に応じて調整を加えましょう。
- 定期的に「最適化案」ページをチェックする: キーワード カバレッジを維持するのに役立つ「新しいキーワードを追加する」、重複キーワードを整理できる「重複するキーワードを削除する」などをご活用ください。
- インテント マッチをスマート自動入札と組み合わせて使用する: カバレッジの縮小が懸念される場合は、パフォーマンス目標の達成に役立つ検索内容を捕捉しやすいインテント マッチとスマート自動入札の組み合わせも検討しましょう。
- 引き続き除外キーワードを活用する: 除外キーワードを使えば、不要な検索内容を広告の表示対象から外すことができます。今回のアップデートは、除外キーワードの動作には影響しません。
キーワードのその他の改善点
他のマッチタイプについても、この一年間改良を続けてまいりました。皆様のフィードバックをもとに、リーチ、関連性、パフォーマンスをバランスよく実現できるよう、動作をアップデートしています。
一例として、インテント マッチ キーワードでは、広告主様のアカウントの追加シグナルを参照することにより、さらに的確な検索とのマッチングが可能になりました。スマート自動入札と組み合わせることにより、これらのインテント マッチ シグナル(ランディング ページ、広告グループ内のキーワードなど)が新しいビジネス チャンスの手がかりとなります。
この組み合わせを導入したオンライン フード デリバリー サービス Just Eat Takeway.com からは、次のようなコメントが寄せられています。「インテント マッチとスマート自動入札の組み合わせが生み出す効果には驚きました。目標を達成しつつ、コンバージョンを 127% も増やすことができたのです。」
キーワード マッチの挙動が予測しやすくなったことも改善点のひとつです。完全一致キーワードは、一致条件を満たしている限り4、常に他のマッチタイプよりも優先されるようになっています。これにより、どのキーワードを検索と一致させるかをコントロールしやすくなり、アカウント管理の煩雑さが軽減されます。マッチングの際のキーワード間の優先順位について詳しくは、Google 広告ヘルプセンターをご覧ください。
Posted by Clayton Jones(Google 広告担当グループ プロダクト マネージャー)
1. Google データ(グローバル、英語、2020 年 6 月 17 日~2020 年 8 月 15 日と 2019 年 6 月 17 日~2019 年 8 月 15 日を比較)
2.Google データ、2019 年 7 月
3. 初期ロールアウトの対象は英語、ドイツ語、スペイン語、フランス語、イタリア語、オランダ語、ポルトガル語、ロシア語です。全言語の日程は Google 広告ヘルプセンターでご確認いただけます。
4. 検索語句にスペルミスがあっても完全一致として認識可能です。一致条件を満たさないケースとしては、予算による制約、「検索ボリュームが少ない」判定、クリエイティブの不承認、他の条件(例: デバイス、地域)の不一致などが考えられます。