この記事では、セグメントを使用してデータを分析する方法、セグメントの変更方法、新しいセグメントの作成方法について説明します。
この記事の内容:
「コンバージョンに至ったユーザー」と「コンバージョンに至らなかったユーザー」の比較
アナリティクスには、さまざまな状況に対応できる多数のシステム セグメントが用意されています。この例では、2 つのシステム セグメント「コンバージョンに至ったユーザー」と「コンバージョンに至らなかったユーザー」を使用して、サイト所有者やアプリ所有者の大きな関心事である「目標や商品購入を達成したユーザー」と「達成しなかったユーザー」を比較します。
コンバージョンに至ったユーザーを分析することで、成果をあげたキャンペーンや広告をさらに発展させ、新規ユーザーの開拓に役立てることができます。
また、コンバージョンに至らなかった理由を分析することで、現在のアプローチの弱点を明らかにして改善ができます。
まず、2 つのシステム セグメント「コンバージョンに至ったユーザー」と「コンバージョンに至らなかったユーザー」を [ユーザー サマリー] レポートに適用し、分析データを確認してみましょう。
コンバージョンに至ったユーザー(20,042 人)はコンバージョンに至らなかったユーザー(54,212 人)より少なく、コンバージョンに至ったセッション数(27,788)もコンバージョンに至らなかったセッション数(59,080)より少ないことがわかります。
サイトへのトラフィック数を比較すると、「コンバージョンに至ったユーザー」は「コンバージョンに至らなかったユーザー」の半分以下ですが、サイトでの活動状況はコンバージョンに至ったユーザーが勝っています。
- ページビュー数は 4 倍以上
- セッションあたりのページ数は 7 倍以上
- 平均セッション時間は 10 倍以上
- 直帰率は約 6 分の 1
コンバージョンに至ったユーザーの方がサイトへのエンゲージメントが高いのは当然かもしれませんが、このデータを見ると、いったんサイトへ誘導したユーザーはエンゲージメントが非常に高いことがわかります。また、リピート率も高く、コンバージョンに至った全ユーザーの 3 分の 1 以上がリピーターです。
追加したセグメントはすべてのレポートに適用されるので、さまざまな観点からデータを容易に評価できます。
[ユーザー属性]、[年齢] の順にクリックして、[ユーザー属性: 年齢] レポートを開きます。
「コンバージョンに至らなかったセッション」に対する「コンバージョンに至ったセッション」の割合は、年齢が上がるほど低下しています。
コンバージョンに至ったセッションが最も多いのは 25~34 歳グループであり(6,312 件、42.65%)、このグループではコンバージョンに至ったセッション(6,312 件)と至らなかったセッション(6,886 件)はほぼ半々です。
この分析結果の理由として、25~34 歳のユーザーはオンラインで購入する頻度が高い、この年齢グループに受け入れられやすい商品やサービスを扱っている、若い年代のユーザー向けに広告を配信している、操作に慣れている若者向けのサイト構成になっている、などが考えられます。「何が効果をあげているか」はこの情報だけでは正確にわかりませんが、コンバージョン率が特に高いのは最年少グループであり、年齢が上がるほどコンバージョン率が低下しているのは間違いありません。
2 つの年齢グループ「25~34」と「35~44」を合わせると全セッションの半数を上回り(56.9%)、コンバージョン率は 64% に達しています。
65 歳以上のグループは全セッションのわずか 5.1% であり、全コンバージョンの 3.5% にすぎません。これにより、若い年齢層に力を入れる必要があることがわかります。
ただ、25~44 歳のユーザーがコンバージョンの 64% を占めているとはいえ、コンバージョン率でみると、65 歳以上(0.77%)が 25~44 歳(0.63%)を上回っています。コンバージョン数は少なくても、65 歳以上のグループにはまだ大きな可能性があると考えられます。
[ユーザー属性: 性別] レポートを開き、[コンバージョン] を [すべての目標] に設定して、男女別のコンバージョン状況を見てみましょう。
コンバージョンに至ったセッション数を比較すると、男性ユーザー(12,011)は女性ユーザー(4,756)の約 2.5 倍です。
女性ユーザーの方がコンバージョン数は少ないものの、コンバージョン率を見ると、女性ユーザー(84.13%)が男性ユーザー(83.56%)をわずかに上回っています。
2 つのシステム セグメントを適用しただけで、いくつかのレポートを通じてユーザーの行動パターンを捉えることができました。
- 合計コンバージョン数は若いユーザーの方が多いが、コンバージョン率は高齢ユーザーが勝っている。
- 合計コンバージョン数は男性ユーザーの方が多く、コンバージョン率は女性ユーザーの方が高い。
この分析データだけでは予算配分を変更する十分な理由になりませんが、この結果をもとに、さらに詳しく分析することができます。
たとえば、各年齢グループと性別のセグメントを作成し、キャンペーン レポートに適用すれば、どのグループを対象に広告を掲載するのが効果的かがわかります。宣伝効果が思わしくない場合は、現在の広告への反応はよくないものの、開拓の余地があるグループ(女性や 65 歳以上のユーザーなど)を対象に新しいキャンペーンと広告を作成します。
同じセグメントを地域レポートに適用すると、コンバージョンを見込めるユーザーの割合が多いにもかかわらず、まだキャンペーンを実施していない地域がわかります。
さらに、これらのセグメントを [インタレスト: サマリー] レポートに適用すれば、各ユーザー グループの関心事を把握し、特定のユーザーを開拓する必要があるかどうかわかります。
有益なデータ(コンバージョンを期待できるユーザー グループなど)が得られたら、必要なセグメントを作成してレポートに適用し、ユーザーの行動を詳細に分析します。その結果をもとに広告内容を改善し、予算配分を調整します。
特定の地域で「コンバージョンが達成されたセッション」を分析
この例では、システム セグメント「コンバージョンが達成されたセッション」をコピーして、設定を一部変更します。
まず [ユーザー サマリー] レポートを開き、「コンバージョンが達成されたセッション」セグメントを適用します。
ユーザーがコンバージョンを達成したセッションのみを対象とするため、「すべてのセッション」セグメントを削除します。
「コンバージョンが達成されたセッション」セグメントのみを適用してレポートを生成することで、コンバージョン達成数が多い地域など、マーケティングに役立つデータを見つけることができます。[地域] レポートを開きます。
このレポートを見ると、コンバージョン達成数が最も多いのはアメリカで、第 2 位の国の 10 倍以上です。
次に、アメリカ国内でのコンバージョン状況を調べるため、このセグメントをコピーしてフィルタを追加します。適用するセグメントを限定することで、レポートの対象を絞り込むことができます。
レポートの一番上にある「コンバージョンが達成されたセッション」のメニューを開き、[コピー] をクリックします。
セグメント ビルダーに元のセグメント定義が表示されます。
[+ フィルタを追加] をクリックし、アメリカ国内でコンバージョンが達成されたセッションのみを抽出する条件フィルタを追加します。
新しいセグメントの名前を入力します(「コンバージョンが達成されたセッション - アメリカ」など)。