Chrome で Protected Audience API(旧 FLEDGE)の一般提供が開始した後、アド マネージャーではテスト対象のトラフィックの量を徐々に増やしていきます。テストするトラフィックの割合を少しずつ増やしながら、パブリッシャーの収益への影響を注視し、大きなマイナスの影響が見られた場合はそれ以上割合を増やさないようにします。
2023 年末までに、Chrome トラフィックの最大 10% が Protected Audience API のテスト対象となる見込みです。
アド マネージャーでは、入札サービスとオークション サービスの機能テストが進行中です。また、入札サービスとオークション サービスを通じて Protected Audience オークションを行う小規模なテスト(0.1% 未満)を実施する場合があります。
Protected Audience API とは
プライバシー サンドボックス イニシアチブでは、ユーザーのオンラインでのプライバシーを保護しながら、ビジネスの構築と拡大に役立つツールを企業やデベロッパーに提供するウェブ テクノロジーの創出を目指しています。また、これによってウェブがオープンで誰でも利用できるものであり続けられることも意図しています。プライバシー サンドボックスは、業界全体から出されたアイデアをもとにテスト、意見交換、調整を繰り返し行って新しい提案をまとめる、継続的な取り組みです。
こうしたプライバシー サンドボックスの提案の一つが Protected Audience API(旧 FLEDGE)です。Protected Audience API は、リマーケティングとカスタム オーディエンス ソリューションを強化して広告主がサイト訪問者に再アプローチできるようにする、プライバシーに配慮した新しい方法を提案しています。
Protected Audience API では、関連付けされたブラウザが広告主の定義した「インタレスト グループ」を保存し、デバイス上で実施されるオークションをホストして表示する広告を決定します。Protected Audience API を活用すると、現在のインタレスト グループの仕組みと同様に、さまざまな商品カテゴリをアピールしたり、コンバージョンに至らなかったユーザーにアピールしたり、ショッピング カートを放棄したユーザーに再度アプローチしたりできるようになります。その一方、現在とは異なり、ユーザー情報が収集されることも、サードパーティの Cookie によって多くの企業と共有されることもありません。
アド マネージャーで Protected Audience API を使用して広告が配信される仕組み
ユーザーが広告主のウェブサイトにアクセスすると、ウェブサイト(またはウェブサイトに埋め込まれた広告テクノロジー プロバイダ)がユーザーのブラウザに対してユーザーを特定のインタレスト グループに関連付けるよう要求します。これにより、ユーザーのブラウザでは、広告主からの情報を含め、インタレスト グループごとにユーザーに表示される可能性のある広告に関する情報が定期的に取得されます。
その後、パブリッシャーがユーザーへの広告配信を希望すると、アド マネージャーに広告リクエストが送信されます。このリクエストには、現在の広告リクエストと同じ情報が含まれますが、Protected Audience API のインタレスト グループに関する情報は含まれません。
リクエストを受信すると、アド マネージャーはサーバーサイド オークションを実施して、最適な非インタレスト グループ広告を選択します。なお、パブリッシャーの価格設定ルールと保護設定は、サーバーサイド オークションで通常どおり適用されます。サーバーサイド オークションの後、アド マネージャーは最適な非インタレスト グループ広告と、デバイス上のオークションに適用されるパブリッシャーの管理設定に関する情報をブラウザに返します。
最後に、すべてのインタレスト グループ広告の候補と最適な非インタレスト グループ広告を対象に、ブラウザでデバイス上のオークションが実施されます。そして、落札された広告が表示されます。
パブリッシャーの管理設定と Protected Audience API
Protected Audience API では、広告オークションがブラウザで行われるため、パブリッシャーの管理設定(価格設定ルールと保護設定)がブラウザに適用されます。これに伴い、アド マネージャーでは、パブリッシャーの機密データがブラウザに渡されるのを防ぐため、デバイス上のオークションで一部のパブリッシャーの管理設定が適用される仕組みを変更しました。
デバイス上の Protected Audience API オークションにかけられるインタレスト グループ広告の場合:
- パブリッシャーの管理設定のほとんどは、これまでどおり適用されます
- パブリッシャーの管理設定の一部は、これまでとは異なるまたは制限付きの形で適用されます
Protected Audience API では、規制による制限と同意設定はすべてこれまでどおり適用されます。
これまでとは異なるまたは制限付きの形でインタレスト グループに適用される管理設定は次のとおりです。
- デリケートなカテゴリの価格設定
なんらかのデリケートなカテゴリに最小価格が設定されている場合、その設定はすべてのデリケートなカテゴリの広告に適用されます。たとえば、パブリッシャーが出会い系サイトの広告に 2 ドルの最小価格を設定している場合、デリケートなカテゴリのすべての広告に 2 ドルの最小価格が適用されます。
- Google アド マネージャーにログインします。
- [管理者]、[全般設定] をクリックします。
デフォルトでは [ネットワーク設定] タブが選択された状態になっています。 -
[広告表示設定] で [デバイス上のオークションで広告主と購入者の保護設定と価格設定ルールを適用する] をオフにします。
このオプションは、[Protected Audience API] がオンになっている場合のみ使用できます。 - [保存] をクリックします。
レポート
Protected Audience API を通じて配信されたインプレッションのレポートを作成するには、「過去」レポートタイプで「Protected audience API 配信」ディメンションを選択します。
Google 以外の販売者を含むすべての広告枠でのテストを許可する
アド マネージャーでは、テストによって収益に悪影響が生じないようにするため、Protected Audience オークションを実施する広告リクエストを一部に留めるようデフォルトで決められています。この決定をオーバーライドして、Google 以外の販売者を含む広告枠を最大 100% テストできます。
設定が有効な場合も、アド マネージャーでは Chrome で control_1.1
、control_1.2
、control_1.3
、または control_1.4
のいずれかのラベルが渡されたトラフィックに対しては、Protected Audience API を引き続き無効にします。このトラフィックは、Protected Audience のパフォーマンス評価の基準として使用されます。
- Google アド マネージャーにログインします。
- [管理者]、[全般設定] をクリックします。
デフォルトでは [ネットワーク設定] タブが選択された状態になっています。 - [広告表示設定] で [パフォーマンスへの影響に関係なく、Google 以外の販売者を含む広告枠の最大 100% でテストを許可する] をオンにします。
- [保存] をクリックします。
Protected Audience API からオプトアウトする
アド マネージャーによる Protected Audience API の使用はネットワーク設定で無効にできますが、サイトでカスタム オーディエンスに関連付けられたデマンドにアクセスできるように、有効のままにしておくことをおすすめします。
- Google アド マネージャーにログインします。
- [管理者]、[全般設定] をクリックします。
デフォルトでは [ネットワーク設定] タブが選択された状態になっています。 - [広告表示設定] で [Protected Audience API] をオフにします。
- [保存] をクリックします。
また、Chrome の Permissions-Policy を使用して、サイトで API を完全に無効にすることもできます。
その他の考慮事項
Protected Audience API を介して配信されるすべてのインタレスト グループ広告は、広告をクリックすると新しいタブまたはウィンドウで開きます。これは、ネットワークや広告ユニットのターゲット ウィンドウが _top に設定されている場合も同様です。