Google アナリティクス 4 の設定時に、Google アナリティクス 4 プロパティのレポート結果をユニバーサル アナリティクス プロパティのレポート結果と比較することをおすすめします。この記事では、ユニバーサル アナリティクスと Google アナリティクス 4 間で指標を比較できる範囲とできない範囲について説明します。
この記事の内容:ユーザー
ユニバーサル アナリティクスには、「合計ユーザー数」と「新規ユーザー」の 2 つのユーザー指標があります。Google アナリティクス 4 には、「合計ユーザー数」、「アクティブ ユーザー」、「新規ユーザー」の 3 つのユーザー指標があります。
指標 |
UA |
GA4 |
合計ユーザー数 |
UA の主要なユーザー指標: ユーザーの合計数 |
イベントが記録されたユニーク ユーザーの合計数 |
新規ユーザー数 |
初めてサイトを利用したユーザーの数 |
初めてサイトを利用した、またはアプリを起動したユーザーの数 この指標は、 |
アクティブ ユーザー |
なし |
GA4 のプライマリ ユーザーに関する指標: ウェブサイトまたはアプリケーションにアクセスした個別のユーザーの数。エンゲージメント セッションが発生するか、アナリティクスで以下の情報が収集されると、アクティブ ユーザーとして認識されます。
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留意点
ユニバーサル アナリティクスでは、ほとんどのレポートで「合計ユーザー数」(「ユーザー」と表示されます)に焦点が当てられ、GA4 では「アクティブ ユーザー」(「ユーザー」とも表示されます)に焦点が当てられます。このように、どちらの場合でも「ユーザー」という用語が表示されますが、UA では「合計ユーザー数」、GA4 では、「アクティブ ユーザー」が使用されているため、UA と GA4 ではこの指標の計算が異なります。
ウェブサイトへの再アクセスの頻度によっては、UA の「合計ユーザー数」指標と GA4 の「アクティブ ユーザー」指標はほぼ同じ数値になることがあります。
2 種類のプロパティでは、ユーザー識別スペースなど、異なる設定を使用できます。たとえば、Google アナリティクス 4 のプロパティでは User-ID を使用しているのに対し、ユニバーサル アナリティクスでは「クライアント ID」を使用している可能性があります。
UA のレポートでは、フィルタに基づいてデータが除外されている可能性があります。GA4 プロパティでは現在、これらのフィルタはサポートされていません。
ページビュー
ページビューは、各ページで配信された Google タグで生成されるため、一般に、UA と GA4 間の「ページビュー数」はかなり近い数値(数パーセント以内の差)になります。ただし、この差異は、ユニバーサル アナリティクスまたは Google アナリティクス 4 で設定しているフィルタによって異なる場合があります。
指標 |
UA |
GA4 |
ページビュー |
表示されたページの合計数。同じページが繰り返し表示された場合も集計されます。 |
別名「ビュー」: 表示されたアプリ画面またはウェブページの総数(レポート管理画面に表示される [ビュー] 指標は、ページビューとスクリーンビューの組み合わせです)。同じスクリーンやページが繰り返し表示された場合も集計されます。 |
ユニーク ページビュー |
閲覧されたページの総数ですが、重複はカウントされません |
なし |
留意点
ユニバーサル アナリティクスでは、スクリーンビューはモバイル固有のプロパティごとに測定されますが、GA4 ではウェブとアプリのデータが同じプロパティ内で組み合わせられます。GA4 プロパティで、ウェブとアプリの両方のデータをトラッキングする場合は、両者のページビュー指標を比較する際に、追加のアプリのトラフィックを考慮に入れる必要があります。
ユニバーサル アナリティクスで提供されている追加のフィルタ オプションを使用すると、比較するビューに含まれるデータに影響を与える場合があります。たとえば、フィルタを使って特定の地域を除外した場合、UA と GA4 のページビュー数の差異が大きくなることがあります。
現在のところ、Google アナリティクス 4 プロパティではフィルタはサポートされていません。一方、ユニバーサル アナリティクスのレポートのデータは、ビューフィルタによるデータの除外の対象となる場合があります。たとえば、UA と GA4 のどちらでも、内部 IP トラフィックと不要な参照は除外できますが、UA では追加のフィルタが適用される場合があります。比較する場合は、両方のプロパティで同じフィルタが設定されていることをご確認ください。
一部のユニバーサル アナリティクス プロパティでは通常、シングルページ アプリケーション(SPA)に手動ページビューを設定します。これは、自動ページビューでは SPA のページビューが測定できなかったことによります。Google アナリティクス 4 では、カスタムタグを実装する必要はありません。代わりに拡張計測機能を有効にすることで、ページビューを自動的に測定できます。
購入
ウェブでの購入の件数はほぼ一致している必要があります。すべてのイベントが完璧に収集されることは想定されておらず、購入イベントもその例外ではありませんが、これらのイベントはアトミックかつ重要であるため、イベント数は UA と GA4 間でほぼ一致していなければなりません。
transaction_id
値が収集されていることを確認する必要があります。
指標 |
UA |
GA4 |
購入 |
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留意点
transaction_id
パラメータが適切かつ一貫して適用されていない場合、データの比較時に明らかな差異が生じる可能性があります。データ品質を確保し、適切に比較できるように、このデータがドキュメントに沿って一貫して収集されていることをご確認ください。
e コマースデータが適切に記録されるように、GA4(および UA)の e コマースの実装では必要なパラメータをすべて使用してください。
UA のレポートでは、ビューフィルタに基づいてデータが除外されている可能性があります。
最新のレポートを比較している場合は、GA4 でデータがまだ処理されているため、データに差異が生じることがあります。たとえば GA4 では、貢献度の割り当てられたコンバージョン データは、コンバージョンが記録されてから最長で 7 日間は更新される可能性があります。
セッション
指標 |
UA |
GA4 |
セッション |
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別名「セッションの開始」
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留意点
UA と GA4 間でのセッション数の差異は、次のようないくつかの要因によってビジネスごとに異なります。
- 地域: ユーザーのタイムゾーンと、セッションを再開するためにユーザーが午前 0 時のしきい値をまたぐ可能性が考慮に入れられます。これは特に、グローバル規模の顧客ベースを持つ場合に当てはまります。
- 所有ウェブサイトまたはアプリで UTM を使用する - ユニバーサル アナリティクスでセッションがリセットされるため、独自のウェブサイトで UTM タグ付けを使用することはおすすめしません。ご自身のウェブサイトで UTM を使用する場合は、GA4 よりも UA のセッション数がはるかに多くなる場合があります。
- フィルタ - UA レポートに、データを除外するビューフィルタが適用される場合があります。Google アナリティクス 360 の GA4 レポートには、サブプロパティに表示される参照元プロパティのデータのフィルタが適用される場合があります。ただし、サブプロパティから
session_start
イベントを除外すると、セッション ID が生成されます。 - 推定 - Google アナリティクス 4 プロパティでは、ユニーク セッション ID の数を推定することにより、ウェブサイトまたはアプリで発生したセッション数の統計的な推定を使用しますが、ユニバーサル アナリティクス プロパティではセッション数を推定できません。Google アナリティクス 4 プロパティで使用される推定値は、高精度かつ低いエラー率で効率的にカウントされます。詳細
セッション / トラフィックに基づく集客の指標
指標 |
UA |
GA4 |
セッション / トラフィックに基づく集客の指標 |
チャネル レポート、参照元 / メディア レポートなど、さまざまな種類のレポートの [集客] セクションに表示されます 「チャネル」または「参照元 / メディア」は、「ユーザー」や「セッション」などの指標を基準に分析されているディメンションです |
トラフィック獲得の指標は、トラフィック獲得レポートで確認できます 「チャネル」または「参照元 / メディア」のディメンションは、「ユーザー」や「セッション」などの指標に基づいて測定されます なお、UA と GA4 間における集客の指標に関する主な違いは、「ユーザー」または「セッション」の指標における違いと連動します |
留意点
集客の指標で主な比較対象となる指標は、「セッション」と「ユーザー」であるため、この記事内の「セッション」と「ユーザー」のセクションをご覧ください。
コンバージョン
コンバージョンの基準がリンク先 URL や、同等の GA4 コンバージョン イベントを設定した UA イベント(カテゴリ、アクション、ラベルなど)である場合、「コンバージョン」はかなり近い数値になることがあります。ただし、UA と GA4 には重要な違いがあり、コンバージョン数を比較するのが困難になる場合があります。
指標 |
UA |
GA4 |
コンバージョン |
「目標」は、コンバージョンとみなす特定のユーザー アクションを指定するために定義します。たとえば、「フォーム送信」の目標を定義すると、ユーザーがフォームを送信するたびにコンバージョンが登録されます。 UA では、各目標で 1 回のセッションにつき 1 件のみコンバージョンが集計されます。そのため、ユーザーが同じセッションでフォームを 2 回送信した場合、「フォーム送信」の目標では 1 件のコンバージョンのみ集計されます。 |
「コンバージョン イベント」は、コンバージョンとして集計するアクションごとに指定します。たとえば、「フォーム送信」イベントをコンバージョン イベントとして指定した場合、ユーザーがフォームを送信するたびにコンバージョンが記録されます。 GA4 では通常、同じセッションで同じコンバージョン イベントが複数回記録された場合でも、コンバージョン イベントのすべてのインスタンスが集計されます。そのため、ユーザーが同じセッションでフォームを 2 回送信した場合、2 件のコンバージョンが集計されます。 UA プロパティと、対応する GA4 プロパティ間のコンバージョン数の差異を軽減するには、GA4 のコンバージョンをカウントする方法の設定を [セッションごとに 1 回] に変更します。
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留意点
ユニバーサル アナリティクスでは、到達ページ、滞在時間、ページ / セッション、スマートゴール、イベントという 5 つの目標タイプがサポートされている一方、GA4 ではコンバージョン イベントのみがサポートされています。UA の目標タイプによっては、GA4 のコンバージョン イベントを使って正確に複製できない場合があります。たとえば、GA4 コンバージョン イベントを使ってスマートゴールや滞在時間の目標を複製することはできません。
UA では、同じ目標に対し、セッションごとに 1 件のみコンバージョンが集計されます。GA4 では通常、同じコンバージョン イベントについて、セッションごとに複数のコンバージョンが集計されます。UA プロパティと、対応する GA4 プロパティ間のコンバージョン数の差異を軽減するには、GA4 のコンバージョンをカウントする方法の設定を [セッションごとに 1 回] に変更します。
UA のレポートでは、ビューフィルタに基づいてデータが除外されている可能性があります。
最新のレポートを比較している場合は、GA4 でデータがまだ処理されているため、データに差異が生じることがあります。たとえば GA4 では、貢献度の割り当てられたコンバージョン データは、コンバージョンが記録されてから最長で 7 日間は更新される可能性があります。
直帰率
指標 |
UA |
GA4 |
直帰率 |
ページで何も行われなかった 1 ページのみのセッションのパーセント数。直帰の場合、セッション継続時間は 0 秒です。たとえば、ユーザーがウェブサイトにアクセスして、ホームページでコンテンツを数分間閲覧したものの、リンクをクリックしたり、インタラクション イベントとして記録されているイベントをトリガーしたりせずにウェブサイトを離れた場合、そのセッションは直帰として集計されます。 |
エンゲージメントのなかったセッションの割合。たとえば、ユーザーがウェブサイトにアクセスしたものの、ホームページでコンテンツの閲覧が 10 秒未満で終了し、イベントをトリガーしたり、他のページか画面に移動したりせずにウェブサイトを離れた場合、そのセッションは直帰として集計されます。 エンゲージメント セッションとは、10 秒以上継続したセッション、コンバージョン イベントが 1 件以上発生したセッション、ページまたは画面の閲覧または視聴が 2 件以上発生したセッションです。エンゲージメント セッションがない場合(つまり、エンゲージメント セッションのいずれの条件も満たしていない場合)は、Google アナリティクスではそのセッションは直帰としてカウントされます。 |
留意点
Google アナリティクス 4 における直帰率は、エンゲージメントされていないセッションの割合です。つまり、直帰率はエンゲージメント率の逆数です。ユニバーサル アナリティクスでは、直帰率は、サイト内のすべてのセッションのうち、ユーザーが 1 ページのみ表示し、アナリティクス サーバーへのリクエストを 1 つだけトリガーしたセッションの割合です。
直帰率: ユニバーサル アナリティクスで計算されるとおり、サイト エンゲージメントの測定には妥当な指標ですが、ウェブサイトやアプリの変化に照らして効果が低下しています。たとえば、ユーザーが単一ページのアプリを表示して、イベントを発生させることなくアプリを終了することも可能であり、その場合は直帰とみなされます。
また、直帰率は Google アナリティクス 4 で計算されるため、ユーザーがサイトまたはアプリを利用する度合いを測定するのに役立ちます。たとえば、ブログを運営している場合、ユーザーがサイトにアクセスして記事を読んでから離脱しても構わないかもしれません。サイトを訪れるユーザーの数に関心があり、探している情報が見つからず、すぐにサイトを離れてしまうユーザーが多いかもしれません。
イベント数
ユニバーサル アナリティクスと Google アナリティクス 4 プロパティでは、イベントの基本的なデータモデルに違いがあります。
指標 |
UA |
GA4 |
合計イベント数 |
ユニバーサル アナリティクスのイベントには、カテゴリ、アクション、ラベルがあり、イベントは 1 つのヒットタイプとみなされます。 たとえば、登録ボタンがクリックされたことを記録するイベントを設定できます。イベントには「CTA」のカテゴリ、「登録」のアクション、およびリンク先 URL のラベルを設定できます。 「合計イベント数」は、カテゴリ / アクション / ラベルのイベントが発生するたびに加算されます。 |
なし |
イベント数 |
なし |
すべての「ヒット」は 1 件のイベントとみなされ、GA4 イベントにはカテゴリ、アクション、ラベルという概念はありません。たとえば、ユーザーがウェブサイトのあるページを閲覧すると、 すべてのアクションはイベントとみなされます。各イベント名は一意であるとは限りません(むしろ、同じイベント名を何度も再利用し、収集したパラメータ値でイベントを区別することをおすすめします)。たとえば、登録向けに「 |
留意点
GA4 と UA 間では、sign_up
イベントが同じ意味を持つ場合とそうでない場合があります。ウェブサイトに登録フォームが 1 つしかなく、登録イベントを発生させるボタンが 1 つしかない場合、これらのイベント数がかなり近い数値になることがあります。ただし、ウェブサイトに複数の sign_up
イベントがある場合は、GA4 と UA のイベント数を比較するのはそれほど単純なことではなく、数値にも差異が生じることがあります。
GA4 レポートには、カテゴリ、アクション、ラベルは表示されません。既存のイベントの構成を Google アナリティクス 4 に移行するのではなく、データ収集を GA4 のモデルに合わせて見直すことをおすすめします。