DMARC を使用すると、SPF または DKIM の認証チェックに合格しなかったメールをユーザーが受信したときに、受信メールサーバーにその処理方法を指示できます(メールの拒否、検疫、配信など)。また、ドメインから送信されたメールについて、潜在的な認証の問題と悪意のあるアクティビティを特定するのに役立つレポートを取得することもできます。 ドメインに DMARC DNS TXT レコード(DMARC レコード)を追加して、DMARC を設定します。
DMARC レコードは、ドメイン プロバイダの手順に沿ってドメインに追加する 1 行のテキストです。このテキスト行には、特別な構文を使用して、あなたのドメインに代わってメールを送信するすべてのサーバーを指定します。DMARC レコードの例を次に示します。
v=DMARC1; p=reject; rua=mailto:postmaster@example.com, mailto:dmarc@example.com; pct=100; adkim=s; aspf=s
DMARC を使用すると、ユーザーが偽装メールの被害に遭わないように対策できるほか、
SPF や DKIM に合格しないメールを管理できます。
目次
- 始める前に
- ステップ 1: レポート用のグループまたはメールボックスを設定する
- ステップ 2: サードパーティのメールが認証されていることを確認する
- ステップ 3: DMARC レコードを決定する
- ステップ 4: ドメインに DMARC レコードを追加する
- 関連トピック
始める前に
- DMARC を使用するには、ドメインで SPF または DKIM を有効にする必要があります。SPF や DKIM を設定していない場合は、なりすまし、フィッシング、迷惑メールを防止するをご覧ください。
- DMARC を有効にする前に SPF と DKIM のいずれかまたは両方を設定していない場合、ドメインから送信されたメールの配信に問題が発生する可能性があります。
- SPF や DKIM を設定してから DMARC を設定するまでに、48 時間の間隔を空けてください。
- ドメインで DMARC がすでに設定されているかどうかを確認するには、多数の無料ツールがインターネットで公開されていますので、そちらをご利用ください。DMARC がすでに設定されている場合は、DMARC レポートで、DMARC がメールを効果的に認証し、メールが想定どおりに配信されていることを確認する必要があります。
- DMARC の設定に関して、Google 管理コンソールでは特に何もする必要はありません。代わりに、このページの手順に沿って DMARC レコードを決定します。その後、ドメインホストにログインし、ドメインホストの DMARC の手順に沿って DMARC レコードを追加します。
ステップ 1: レポート用のグループまたはメールボックスを設定する
メールで送られてくる DMARC レポートの数は、ご利用のドメインが送信するメールの量と送信先のドメイン数によって異なります。毎日多くのレポートを受信することになります。大規模な組織では数百本、数千本ものレポートが毎日届く場合があります。 Google では、DMARC レポートを受信、管理するためのグループまたは専用メールボックスを作成することをおすすめしています。
重要: 通常、レポートのメールアドレスは、DMARC レコードをホストするドメインと同じドメインにします。 メールアドレスのドメインが異なる場合は、そのドメインに DNS レコードを追加する必要があります。 DMARC レポートのページで、別のドメインのメールアドレスにレポートを送信するをご覧ください。
ステップ 2: サードパーティのメールが認証されていることを確認する
サードパーティ サービスを使用して組織のメール送信を行う場合は、サードパーティ サービスから送信されたメールが認証され、SPF と DKIM のチェックに合格していることを確認する必要があります。
- SPF と DKIM が正しく設定されていることを確認するため、サードパーティのプロバイダに問い合わせます。
- プロバイダのエンベロープ送信者ドメインが組織のドメインと一致していることを確認します。プロバイダの送信メールサーバーの IP アドレスをドメインの SPF レコードに追加します。
- SMTP リレーサービスの設定を使用して、送信メールの経路を Google 経由にします。
ステップ 3: DMARC レコードを決定する
DMARC ポリシーは、DMARC レコードと呼ばれる 1 行のテキスト値で定義されます。このレコードでは次の項目を定義します。
- DMARC ポリシーでメッセージをどの程度厳格にチェックするか
- メールが認証に合格しなかった場合の、受信サーバーによる推奨処理
DMARC レコードの例(example.com はご利用のドメインに置き換えてください):
v=DMARC1; p=reject; rua=mailto:postmaster@example.com, mailto:dmarc@example.com; pct=100; adkim=s; aspf=s.
v タグと p タグは最初に指定する必要がありますが、他のタグは任意の順序で指定できます。
DMARC の使用を開始するときは、ポリシー オプション(p)を none に設定することをおすすめします。ドメインからのメールが受信サーバーによってどのように認証されるのかがわかってきた段階で、ポリシーを更新します。ある程度の期間を設けて、受信側のポリシーを quarantine (or reject) に変更します。DMARC のおすすめのロールアウト方法をご覧ください。
DMARC レコードのタグの定義と値
タグ | 説明と値 |
v |
(必須)DMARC のバージョン。DMARC1 を指定します。 |
p | (必須)認証に合格しないメールの処理方法を受信メールサーバーに指示します。
BIMI に関する注意: ドメインで BIMI を使用している場合は、DMARC の [p] オプションを [検疫] または [拒否] に設定する必要があります。BIMI は、p オプションが none に設定された DMARC ポリシーには対応していません。 |
pct |
pct タグは省略可能ですが、DMARC ポリシーが適用されるメールの割合を管理できるように、DMARC をリリースするときに DMARC レコードに含めることをおすすめします。 DMARC ポリシーの対象となる未認証メールの割合を指定します。DMARC を段階的に導入する場合は、一部のメールから開始することをおすすめします。受信サーバーによる認証に成功するメールが増えたら、100% に達するまで徐々に割合を増やしながらレコードを更新します。 1~100 の整数を指定する必要があります。レコードでこのオプションを使用しないと、ドメインから送信されたすべてのメールに DMARC ポリシーが適用されます。 BIMI に関する注意:ドメインで BIMI を使用している場合は、DMARC ポリシーの pct 値を 100 に設定する必要があります。BIMI は、pct に 100 より小さい値が設定された DMARC ポリシーには対応していません。 |
rua |
rua タグは省略可能ですが、DMARC レコードには常に含めることをおすすめします。 DMARC レポートをメールアドレスに送信します。メールアドレスには mailto: を付ける必要があります。
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ruf |
(サポートされていません)Gmail は、失敗レポートの送信に使用される ruf タグには対応していません。失敗レポートはフォレンジック レポートとも呼ばれます。 |
sp | (省略可)プライマリ ドメインのサブドメインからのメールに関するポリシーを設定します。サブドメインに異なる DMARC ポリシーを使用する場合は、このオプションを使用します。
レコードでこのオプションを使用しない場合、サブドメインは親ドメインに設定されている DMARC ポリシーを継承します。 |
adkim | (省略可)DKIM の調整ポリシーを設定し、メールの情報が DKIM 署名とどの程度一致する必要があるかを定義します。調整の仕組み(このページの後半)をご覧ください。
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aspf | (省略可)SPF の調整ポリシーを設定し、メールの情報が SPF 署名とどの程度厳格に一致する必要があるかを指定します。調整の仕組み(このページの後半)をご覧ください。
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DMARC の調整
DMARC では、From: ヘッダーのドメインが SPF または DKIM で指定された送信ドメインとどの程度一致しているかに基づいて、メールを受理または却下します。これを「調整」と呼びます。
調整には、厳格モードまたは緩和モードのいずれかを選択できます。DMARC レコードタグの aspf と adkim を使用して、DMARC レコードの中で SPF と DKIM の調整モードを設定します。
場合によっては、なりすまし対策を強化するため、厳格モードの調整に変更することをおすすめします:
- ドメインのメールが管理対象外のサブドメインから送信されている
- 別のエンティティが管理しているサブドメインを利用している
メールが DMARC 認証に合格するには、次のチェックのうち少なくとも 1 つに合格する必要があります。
- SPF 認証と SPF 調整
- DKIM 認証と DKIM 調整
次の両方に合格しなかったメールは、DMARC チェックも不合格となります。
- SPF または SPF 調整
- DKIM または DKIM 調整
ステップ 4: ドメインに DMARC レコードを追加する
重要: このステップでは、ドメインホストの DMARC ヘルプ ドキュメントを使用してください。DMARC レコードを追加する手順は、ドメインホストによって異なります。
レコードを追加または更新する
重要: DMARC を設定する前に、DKIM と SPF を設定してください。DMARC を有効にする 48 時間以上に、DKIM と SPF でメールを認証している必要があります。
- DMARC レコードのテキスト ファイルまたは行を用意します。
- ドメインホスト(通常はドメイン名の販売元)にログインします。ドメインホストがわからない場合は、ドメイン登録事業者を特定するをご覧ください。
- ドメインの DNS TXT レコードを更新するページに移動します。このページを見つける方法については、ドメインのドキュメントをご確認ください。
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次の情報を含めて TXT レコードを追加または更新します(使用するドメインのドキュメントを参照)。
フィールド名 入力する値 タイプ レコードタイプは TXT です。 Host(名前、ホスト名、エイリアス) この値は _dmarc.example.com にする必要があります(example.com はドメイン名に置き換えてください)。 Value TXT レコードを構成する文字列。例: v=DMARC1; p=none; rua=mailto:postmaster@example.com, mailto:dmarc@example.com; pct=100; adkim=s; aspf=s. 詳しくは、このページの前述のDMARC レコードを決定するをご覧ください。 注: ドメインホストによっては、ドメイン名が自動的に追加されます。TXT レコードを追加または更新した後で、DMARC レコードのドメイン名の確認を行って、形式が正しいことを確認してください。 - 変更を保存します。
- DMARC を複数のドメインに設定する場合は、ドメインごとに次の手順を完了してください。各ドメインに異なるポリシーと異なるレポートを設定できます(レコードで定義します)。
- ドメインに DMARC が設定されていることを確認するには、多数の無料ツールがインターネットで公開されていますので、そちらをご利用ください。
関連トピック
- DMARC に関する問題のトラブルシューティング
- 推奨される DMARC のロールアウト
- DMARC を無効にする
- DMARC レポートについて
- TXT レコードについて
- DMARC RFC 7489
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