はじめに
非営利団体は、業務を効率化する方法や、影響力を強める方法を常に模索しています。人工知能(AI)、特に生成 AI は、多くの場合こうした目標の達成に役立ち、コストを低く、ときにはゼロに抑えることもできるため、貴重なアシスタントとなります。ただし、AI を導入する際は、AI の責任ある利用方法に配慮することが重要です。このヘルプセンター記事では、責任を持って非営利団体の一連の業務に AI を統合するための指針を提供します。
AI について
AI テクノロジーの進歩により、非営利団体の日常業務の可能性が変化しています。最新のテクノロジーを効果的に使用するための準備として、次の 2 つの基本概念を理解することが重要です。
- 人工知能(AI): AI は、思考や学習など、人間の知能をシミュレートするように設計されたスマートマシンを作成することに焦点を当てたコンピュータ サイエンスの分野です。
- 生成 AI: 生成 AI は AI のタイプの一つで、テキスト、画像、その他のメディアなどの新しいコンテンツを生成できます。非営利団体は、ソーシャル メディア投稿の作成、募金活動資料のまとめ、さまざまなデータソースの統合などのタスクに生成 AI を使用できます。
- エージェント型 AI: AI エージェントを含む AI のタイプ。AI エージェントは、高度な AI モデルと、メール、カレンダー、ドキュメントなどの日常的なツールへのアクセスを組み合わせたシステムです。これにより AI エージェントは、ユーザーの管理下でユーザーに代わって作業できます。非営利団体で AI エージェントを利用する場合、ボランティアの問い合わせをモニタリングし、組織の共有カレンダーでオリエンテーションの日程を確認し、共有連絡先リストを更新しながら、ボランティア候補者に招待リンクを自動的に送信するような例が考えられます。
AI テクノロジーを搭載したツールはデジタル コラボレーターとして機能し、スタッフが複雑なタスクに効率的に取り組んだり、データに基づいた意思決定を行ったり、創造性を一層高めたりできます。たとえば、調査に基づく分析情報を使用して説得力のある資金援助の提案書を作成する、寄付者の深い共感を呼ぶパーソナライズされたアウトリーチ キャンペーンを計画する、プログラム データを分析して改善点を特定する、といったタスクを AI が手伝ってくれます。
責任ある AI の運用と戦略
AI は非営利団体の効率性と影響を高める大きな可能性を秘めていますが、AI テクノロジーを使用する際には、責任ある運用を確立することが重要です。バイアスを軽減し、正確性を確保し、プライバシーを尊重し、AI の使用を開示する運用は、非営利団体が責任を持って AI を活用するうえで役立ちます。
バイアスを軽減する
データを活用するすべてのシステムに言えることですが、AI ツールの出力に影響する可能性のあるバイアスに注意することが重要です。バイアスは、AI の開発に使用されたトレーニング データや、ユーザーが提供するプロンプトや情報から生じる可能性があります。バイアスを軽減し、AI ツールを責任を持って使用するには、ACT Responsibly(責任ある行動) フレームワークに沿って対応します。
A - Ask(問いかける)
このタスクが AI に適しているかどうか、改めて自分に問いかけます。リスクの低い繰り返し作業から始めましょう。タスクに機密データ、共感が重要な役割を担う状況、「最終的な」意思決定が含まれる場合は、AI の使用を再検討してください。AI は人間を支援するものであり、人間に取って代わるものではありません。
C - Check(確認する)
AI 生成の出力は、使用する前に確認してください。分析情報を抽出する際は、必ず事実を確認してください。次の内容に問題がないか、出力を確認します。
- 正確性: 信頼できる情報源を使用して統計情報を確認します。
- バイアス: コンテンツが公平で、コミュニティを代表するものであることを確認します。
- ミッションとの整合性: 組織の発信者としてふさわしいトーンになっているか確認します。
T - Tell(伝える)
AI を使用している場合は、その旨をユーザーに伝えます。透明性 とは、ツールの使用状況についてオープンにすべきという考え方です。コンテンツが AI によって作成された場合は関係者に開示し、最終的な出力については常に責任を負ってください。
正確性を確保する
AI ツールを使用する際は、上記の「ACT」フレームワークの「C」の一環として、正確性を確認することが重要です。これは、AI ツールでは「ハルシネーション」が発生し、出力が真実ではない場合があるためです。AI ツールは、もっともらしく正しいように見えても、実際には不正確な出力を生成することがあります。ハルシネーションが起きる原因は、AI ツールで使用されるデータが不完全であるなど、さまざまな理由が考えられます。
ハルシネーションを防いだり検出したりするには、人間参加型アプローチを使用することが重要です。 非営利団体の専門家が持つような豊富な経験、実践的な知識、共感力を備えた AI ツールは存在しません。効果的な戦略は、人間参加型アプローチです。このアプローチでは、機械と人間の知能を組み合わせて、AI の出力をトレーニング、使用、検証、改善します。
重要: AI の出力は常に高品質の下書きまたは提案として捉え、評価や検証には専門知識が必要であることを念頭に置いてください。AI は非営利団体の効率性と影響を高める大きな可能性を秘めていますが、AI ツールを使用する際には、責任ある運用を確立することが重要です。公平性、正確性、プライバシーの保護、全体として倫理的なアプローチといった点を重視した運用は、非営利団体が責任を持って AI を活用するうえで役立ちます。
- 明確で具体的なプロンプトを使用します。AI ツールのプロンプトを作成する場合は、自然言語で明確かつ簡潔に記述し、リクエストの十分なコンテキストを提供しましょう。不正確な結果になりやすいため、あいまいなプロンプトや自由回答型のプロンプトは避けます。
- 出力のファクト チェックを行います。AI によって生成された情報の正確性を確認します。自分で調べた信頼できる情報源で情報を確認しましょう。
- 制約に留意します。AI は現在も開発中であり、できることに制約があることを理解しておかなければなりません。高い正確性が求められるタスクの場合は、タスクの完成を裏付けるものとして AI 以外のリソースを使うことも検討しましょう。
プライバシーを尊重する
AI を使用する目的が基本的なタスクの支援であっても新しいコンテンツの作成であっても、AI の使用によって非営利団体の職員や活動の対象者のプライバシーとセキュリティに生じうる影響に配慮しましょう。組織において AI を使用する際のプライバシーとセキュリティに関する懸念を軽減するには、次の戦略が役立ちます。
- プライバシー ポリシーを確認します。AI ツールに関するドキュメントをよく読み、デベロッパーが定めたプライバシー保護対策(利用規約など)を確認します。プライバシーに関する規制や、AI の使用に関するベスト プラクティスについての最新情報を常にチェックしましょう。
- データ入力を制限します。AI ツールを操作する際は、機密情報、非公開情報、個人情報(PII)、組織や受益者に関する機密データを入力しないようにしましょう。
- エンタープライズ グレードのセキュリティ。Google for Nonprofits | 非営利団体向けプログラムを通じて、対象となる組織は Workspace for Nonprofits を有効にできます。Workspace for Nonprofits には、エンタープライズ グレードのセキュリティを備えたコアサービスとして Gemini アプリと NotebookLM が含まれています。NotebookLM と Gemini の両方のコンプライアンス認証をご覧になり、組織に対する適用範囲をご確認ください。詳しくは、「Google Workspace の生成 AI に関するプライバシー ハブ」をご覧ください。
AI を使用していることを開示する
上記の「ACT」フレームワークの「T」の一環として AI の使用を開示することで、非営利団体への信頼と、組織内における倫理的慣行を促進できます。業務で AI を使用する際の透明性を確保するためには、次の戦略が役立ちます。
- 生成 AI の使用を公表します。非営利団体が AI を使用している場合は、その旨を明確にしましょう。AI ツールを使用していることとその理由をユーザーに開示します。
- 詳細な情報を提供します。使用したツールの種類とその使用目的を説明します。非営利団体の活動に関係する人が潜在的なリスクを評価するのに役立つ情報がほかにもあれば、提供しましょう。
責任ある AI の使用に関するリソース
あらゆる非営利団体が、業務に AI を活用する方法を模索しています。責任ある AI の使用に関するガイドラインは、組織がポリシーとベスト プラクティスを決定する際に役立ちます。次のリソースには、責任ある AI の使用方法に関するその他のガイダンスが記載されています。
- Fast Forward's Nonprofit AI Policy Builder: 非営利団体が独自の AI 利用ポリシーを作成するのを支援するように設計された無料のツールです。
- Google の責任ある AI への取り組みと基本理念: AI システムの設計と開発における取り組みと基本理念の例です。