購入者の IAB TCF v2.0 の統合について

Google では、アド マネージャー、AdMob、AdSense で IAB TCF v2.0 の統合を予定しています。認定バイヤー、Open Bidding ネットワーク、エクスチェンジなどのリアルタイム ビッダー(RTB)の購入者の方は、この統合によって、入札リクエストの受信、オークションの落札、Cookie マッチング リクエストのレスポンスの受信に影響が生じる可能性があります。

影響を受ける対象

今回の統合は、TCF v2.0 に登録済みかどうかに関係なく、すべての認定バイヤーおよび Open Bidding のエクスチェンジとネットワークの購入者に影響します。

背景

2019 年 8 月にお知らせしたとおり、Google では、Google の既存のポリシー要件、特に Google の EU ユーザーの同意ポリシーと、本人確認を目的としたフィンガープリントの使用に関する Google のポリシー(たとえば、第三者広告配信に関する要件に含まれるポリシー)を反映させることを目的として、相互運用のガイドラインを設けました。Google のポリシーは今後も引き続き適用され、場合によっては TCF v2.0 より厳格な制限事項が適用されることがあります。

IAB TCF v2.0 の統合方法については、次の状況に応じて、多様で複雑なシナリオが考えられます。

  • ベンダーの IAB TCF v2.0 の登録方法
  • パブリッシャーの設定
  • ユーザーの同意

ベンダーは、グローバル ベンダーリストに登録する際、各目的について次のオプションから選択するようになっています。それぞれの目的について詳しくは、IAB 透明性と同意に関するフレームワーク v2.0 をご確認ください。

目的 ベンダーの登録オプション(下に例を表示)
デバイスに情報を保存またはアクセスする(目的 1)
  • 法的根拠とした場合に限った同意
  • 不使用

目的 2~10
  • 法的根拠とした場合に限った同意
  • 法的根拠とした場合に限った正当な利益
  • 法的根拠とした場合に限った同意、または正当な利益:
    • デフォルト: 同意
    • デフォルト: 正当な利益
  • 不使用

特殊目的の宣言
  • 正当な利益

機能の宣言
特殊機能の宣言

柔軟に設定を変えられる登録

ベンダーが「法的根拠としての同意または正当な利益(デフォルト: 同意)」または「法的根拠としての同意または正当な利益(デフォルト: 正当な利益)」の柔軟に設定を変えられる登録をしている場合、パブリッシャーはベンダーの取り扱いについて次のオプションを選択できます。

  1. デフォルトを尊重する
  2. 「同意」が必要であることを指定する
  3. 「正当な利益」が必要であることを指定する

ベンダーの登録方法や、パブリッシャーがその登録方法をどのように取り扱うかに関係なく、Google はすべてのベンダーが特定の目的(詳しくは以下で説明)について、有効な法的根拠が成り立つ場合に限って同意を得ることを要件としています。入札レスポンスの要件に関するセクションを確認する際は、この点にご注意ください。

不明なドメイン

Google では、広告クリエイティブのポリシーと同意の承認状況をドメインレベルで確認します。ドメイン情報がない場合は、同意の有無を確認できないため、「不明な」ドメインを含むクリエイティブや Google の広告技術プロバイダ リストに登録されていない認識不可能なベンダーを含むクリエイティブは欧州経済領域や英国でブロックされる可能性があります。

広告技術プロバイダは、認定プロセスガイドを使用して、Google に登録するか、既存の登録に新しいドメインやサブドメインを追加するよう申請できます。

変更内容

IAB が TCF v1.1 から v2.0 に全面移行した時点から、TCF v2.0 を統合したパブリッシャーのすべての広告リクエストで TC 文字列の読み取りと受け渡しが開始されます。それに先立って、Google とパブリッシャーは TCF v2.0 のベータ版テストを行うため、一部の入札リクエストに TC 文字列が含まれる場合があります。Google は、広告リクエストで渡された TC 文字列を解析し、個人データの処理について適切な法的根拠が成立するユースケースとパートナーを特定します。統合後も入札リクエストの受信、オークションの落札、Cookie マッチング サービスの使用を継続できるようにするには、使用するベンダーが IAB TCF v2.0 に登録し、該当する目的(以下のユースケースのセクションで説明)について同意を得るか、正当な利益を確保している必要があります。

入札者とエクスチェンジを利用する購入者は、自身が TCF v2.0 に登録済みかどうかに関係なく、TC 文字列で渡されるユーザー同意設定を適切に取得、解析、適用し、それに応じた入札リクエストの応答方法と Cookie マッチング サービスの用法を決める必要があります。

注: TCF v2.0 を統合していないパブリッシャーに対しては、こちらの記事のとおり、現在の GDPR(欧州の一般データ保護規則)ソリューションが引き続き使用されます。

まとめ

EU ユーザーの同意ポリシーで要件とされているとおり、入札者は目的 1、3、および 4 についてユーザーの同意を得る必要があります。ベンダーがこれらの目的について柔軟な法的根拠を使用して登録している場合でも、同意を得る必要があります。目的 1、3、4 について、これ以外の法的根拠は認められません。ユースケース(入札リクエストの受信、入札レスポンスの送信、Cookie マッチングの使用、クリエイティブでのベンダー ピクセルの使用)やユーザーの承認状況がどのようなものでも関係ありません。

入札リクエストの受信への影響

TC 文字列でユーザーが目的 1、3、4 について同意していないことが示され、免除が適用されていない場合は、登録状況に関係なく、Google から入札者に入札リクエストは送信されません。これは、現在の RTB での非パーソナライズド広告の取り扱いと同じです。詳細

TCF v2.0 に登録した入札者が入札リクエストを受信できるようにするには、次の条件を満たす必要があります。

IAB グローバル ベンダーリスト ID は、TCF v2.0 に登録した後、こちらのフォームからお知らせください。

購入者タイプ 条件(該当のシナリオですべての条件を満たす必要があります)
認定バイヤー、Open Bidding ネットワークの購入者
  1. 目的 1、3、4 のすべてについて、「同意」または「柔軟 - デフォルト: 同意」を法的根拠として登録している
  2. ユーザーが目的 1、3、および 4 に同意している
Open Bidding エクスチェンジの購入者
  1. 目的 1 について、「同意」を法的根拠として登録している
  2. 目的 3 および 4 について、「同意」、「柔軟 - デフォルト: 同意」、「不使用」を法的根拠として登録し、「正当な利益」を登録していない
  3. ユーザーが目的 1 に同意している(目的 3 および 4 について、エクスチェンジが「同意」または「柔軟 - デフォルト: 同意」を法的根拠として登録している場合は、これらにも同意している)

 上記の条件に加えて、次の条件に該当する場合、購入者は入札リクエストを受信できません

購入者タイプ 条件
認定バイヤーまたは Open Bidding(エクスチェンジとネットワーク)の購入者
  1. 特殊機能 2(デバイスの識別情報を継続的にスキャンする)について登録し、かつユーザーが特殊機能 2 に同意している(下記の注を参照*)

1 目的について詳しくは、IAB ヨーロッパの透明性と同意に関するフレームワークのポリシー(英語)をご覧ください。

* : 購入者が特殊機能 2 について登録し、ユーザーが特殊機能 2 に同意していない場合でも、購入者は入札リクエストを受信できます(受信に関する他の条件をすべて満たしている必要があります)。これは、Google のポリシーで禁止されているアクティブなフィンガープリントの使用(特殊目的 1(セキュリティの確保、不正行為の防止、デバッグを行う)を除く)は TC 文字列によって許可されないことに基づきます。

入札レスポンスへの影響(入札レスポンスで返されるクリエイティブとベンダー ピクセルなど)

  • アド マネージャーでは、上記の条件を満たし、ユーザーから同意を得ている入札者にのみ、入札リクエストで TC 文字列が渡されます。Open Bidding エクスチェンジの上記以外の「不使用」のユースケースでは、同意を得られなかった場合、入札リクエストは一切送信されません。
  • 購入者は、ユーザーの個人データを処理できるベンダーかどうかを判別する際に、TC 文字列で示されているユーザーの選択を尊重し、適用される Google と TCF のポリシーを遵守する必要があります。どの広告クリエイティブを返すかを決める際も同様です。
  • Open Bidding エクスチェンジは、条件を満たす入札者に TC 文字列を渡す必要があります。また、入札者から返されるクリエイティブに、Google のポリシー要件と TCF v2.0 統合ガイドラインを遵守していないベンダーが含まれないようにする必要があります。

入札リクエストには、入札者がユーザーの同意設定を反映できるように、IAB の TC 文字列を渡すための新しいフィールドが追加されます。

  • User.ext.consent: IAB 標準規格に準拠した OpenRTB(下記参照)
  • AdSlot.ConsentedProvidersSettings.tcf_consent_string: Google プロトコル、AdX プロトコル

既存のフィールドは、GDPR が適用されるかどうかを示すため引き続き使用されます。

クリエイティブを配信できるようにするには、次の条件を満たす必要があります。

  1. ベンダーが少なくとも 1 つの目的について IAB に登録している。
  2. 目的 3 および 4 について、ベンダーが次の 4 つのうちいずれかの方法でユーザーの同意を得ている。
    : 目的 3 および 4 について、ベンダーが「不使用」で登録している場合は、これらの目的について同意を得る必要はありません。
    1. ベンダーがこれらの目的について「同意」で登録し、かつユーザーが同意している
    2. または、ベンダーがこれらの目的について「柔軟 - デフォルト: 同意」で登録し、かつパブリッシャーがデフォルトを尊重し、かつユーザーが同意している
    3. または、ベンダーがこれらの目的について「柔軟 - デフォルト: 同意」で登録し、かつパブリッシャーが同意を要件とし、かつユーザーが同意している
    4. または、ベンダーがこれらの目的について「柔軟 - デフォルト: 正当な利益」で登録し、かつパブリッシャーが同意を要件とし、かつユーザーが同意している

注: ベンダーが特殊機能 2(デバイスの識別情報を継続的にスキャンする)について登録している場合、そのベンダーを使用するクリエイティブは、ユーザーが特殊機能 2 にオプトインしていない場合にのみ配信可能となります。

ユーザーが特殊機能 2 に同意しており、パブリッシャーの利用しているベンダーが特殊機能 2 で登録されている場合は、90 日間の猶予期間が適用されます。

ユーザーが特殊機能 2 に同意していることが TC 文字列で示されている場合、個々のベンダーが特殊機能 2 で登録されているかどうかに関係なく、猶予期間中はすべてのベンダーを利用できます。

Cookie マッチングの使用への影響

Google では、双方向の Cookie 同期リクエストで、TCF v2.0 同意情報を渡すため、&gdpr&gdpr_consent のパラメータがサポートされます(これらのパラメータは省略可能です)。

Cookie マッチング リクエストに &gdpr&gdpr_consent のパラメータが 含まれている場合、Google では次のすべての条件を満たすときに第三者ベンダーのリクエストと Cookie が同期されます。

  • Google が以下の処理を行うことについて、同意が得られている。
    • デバイスに情報を保存またはアクセスする(目的 1)、
    • パーソナライズド広告のプロファイルを作成する(目的 3)、および、
    • パーソナライズド広告を選択する(目的 4)
  • Google が以下の処理を行ううえで「正当な利益」が確保されている。
    • 基本広告を選択する(目的 2)、
    • 広告のパフォーマンスを測定する(目的 7)、および、
    • 商品の開発と改善を行う(目的 10)
  • ベンダーは目的 1 について「同意」で登録し、かつユーザーの同意を得ている必要があります。
  • 目的 3 および 4 については、次の 4 つのうちいずれかの方法でユーザーの同意を得る必要があります。
    • ベンダーがこれらの目的について「同意」で登録し、かつユーザーが同意している
    • または、ベンダーがこれらの目的について「デフォルト: 同意」で登録し、かつパブリッシャーがデフォルトの選択を尊重し、かつユーザーが同意している
    • または、ベンダーがこれらの目的について「デフォルト: 同意」で登録し、かつパブリッシャーが同意を要件とし、かつユーザーが同意している
    • または、ベンダーがこれらの目的について「デフォルト: 正当な利益」で登録し、かつパブリッシャーが同意を要件とし、かつユーザーが同意している
      : 目的 3 および 4 について、ベンダーが「不使用」で登録している場合は、これらの目的について同意を得る必要はありません。

上記の条件に加えて、次のいずれかの条件に該当する場合、ベンダーは Cookie マッチングの同期を使用できません。

  1. ベンダーが目的 3 についてのみ「正当な利益」で登録している
  2. ベンダーが目的 4 についてのみ「正当な利益」で登録している
  3. ユーザーがベンダーに対して特殊機能 2(デバイスの識別情報を継続的にスキャンする)に同意し、かつベンダーが特殊機能 2(下記の注を参照*)について登録している

* 注: ベンダーが特殊機能 2(デバイスの識別情報を継続的にスキャンする)について登録している場合、そのベンダーを使用するクリエイティブでは、ユーザーが特殊機能 2 に同意していない場合にのみ Cookie マッチングを使用できます。

TC 文字列が渡される仕組み

入札リクエスト

  • OpenRTB の場合: TC 文字列を含む User.ext.consent という新しいフィールドが入札リクエストに追加されます(IAB の提案と標準規格に準拠)。Regs.ext.gdpr フィールドでは、リクエストに GDPR が適用されるかどうかの情報が引き続き渡されます。
  • Google プロトコルの場合: TC 文字列を含むフィールドは AdSlot.ConsentedProvidersSettings.tcf_consent_string になります。regs_gdpr では、リクエストに GDPR が適用されるかどうかの情報が引き続き渡されます。

Cookie マッチング URL

Cookie マッチング サービスを使用する場合は、Cookie マッチング リクエスト(使用側が開始する場合)またはレスポンス(Google が開始する場合)に「&gdpr」と「&gdpr_consent」のパラメータを追加します。「&gdpr_consent」には TC 文字列を含めます。

Google では、この文字列を解析して、ユーザーから適切な同意が得られているかどうかを判断し、それに沿って処理します。

追加同意モード

Google では「追加同意モード」という一時的な技術仕様を定義しました。これは、IAB ヨーロッパの透明性と同意に関するフレームワーク(TCF)v2.0 への対応において、IAB ヨーロッパのグローバル ベンダーリスト(GVL)に未登録のベンダーを暫定的に使用できるようにすることを目的としています。この仕様により、パブリッシャー、同意管理プロバイダ(CMP)、およびパートナーは、IAB ヨーロッパの GVL に未登録で、Google の広告技術プロバイダ(ATP)リストに登録されている企業について、TCF v2.0 対応の取り組みに沿って、追加の同意を取得し反映できます

TCF v2.0 を統合し、IAB の TCF v2.0 向けの GVL に登録されていない「追加プロバイダ」に対してユーザーの同意を求めるパブリッシャーについて、Google では次のように処理されます。

  • TC 文字列を上記の説明に沿って送信します。
  • TCF 未登録の追加ベンダーの ID は、次の既存のフィールドを使用して、エクステンションで TCF v2.0 に送信されます。
    • OpenRTB: User.ext.ConsentedProvidersSettings.consented_providers、Google プロトコル、AdX プロトコル: AdSlot.ConsentedProvidersSettings.consented_providers
  • 同意済みプロバイダ フィールドには、TCF 未登録の追加プロバイダのみが含められ、TCF 登録ベンダーは TC 文字列で送信されます。

: 次の 2 つのケースでは、「consented_providers」フィールドを使用して同意済みのベンダーが通知されます。

  1. TCF v2.0 を統合していないパブリッシャーに対しては、こちらの記事のとおり、現在の GDPR ソリューションが引き続き使用されます。
  2. TCF v2.0 を統合し、TFC 未登録のベンダーについて同意を求めるパブリッシャーに対しては、上記のように処理されます(追加同意モード)。

詳しくは、Google の追加同意モードの技術仕様をご覧ください。

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