拡張 e コマースは、購入に結びつく最後のトランザクションと、購入に先立つユーザー操作をトラッキングするように設計されていますが、拡張 e コマースは、必ずしも最後のトランザクションのトラッキングにしか使用できないわけではありません。たとえば予約やリードフォームの送信などでは、それらが発生した後に、最終的な収益や、購入に含まれる商品を変更するトランザクションが発生する可能性があります。
拡張 e コマースの動作
トランザクションの重複を除く際は、拡張 e コマースの以下の動作に留意してください。
-
トランザクションとともにヒットが送信されると、トランザクション数の指標に関して、Google アナリティクス内でのトランザクションの総数が増加します。これは、トランザクションに同じ ID が設定されている場合にも当てはまります。
-
ヒットとともに払い戻しが送信されるたびに、商品の払い戻しの数は増加しますが、トランザクション数の指標は影響を受けません。
-
たとえば、金額 X のトランザクションが送信された後に、金額 -X のトランザクションが送信された場合、収益の指標は相殺されますが、トランザクション数は 1 件ではなく 2 件になります。
-
対して、金額 X のトランザクションが送信された後に、X の払い戻しが送信された場合は、トランザクション数と収益の指標に影響はありません。払い戻し額の指標が X 分増加し、商品の払い戻し数の指標が 1 増加します。商品の払い戻し数は、払い戻しが行われた商品につき 1 ずつ増えます。
-
同じ ID で複数のトランザクションを送信した後、全額払い戻しを送信した場合、最後のトランザクションは払い戻しとして処理されますが、それ以前のトランザクションは考慮されません。
トランザクションの変更
基本的に標準設定は、トランザクションの変更に対応していません。拡張 e コマースは、購入の大幅な変更が可能な段階ではなく、ユーザーが購入サイクルを後戻りできなくなった段階で測定を行うよう設計されています。
以下では、トランザクションの変更を反映したレポートを作成する方法を 1 つ紹介します。状況によっては他の手法でも可能な場合があります。
カスタム レポートを作成する
目的のレポートを生成するには、Looker Studio を使用して、払い戻しとトランザクションの数を組み合わせる必要があります。トランザクションの変更が適切に反映されるように、以下のルールに準拠してください。
-
顧客がトランザクションに商品を追加するという変更を行い、そのトランザクションの収益が増えた場合は、その追加分の収益のみを新しいトランザクションで送信します(収益の合計を送信してはならない)。新しいトランザクションのトランザクション ID は、古いトランザクションの ID と同じでなければなりません。
-
トランザクションから商品が削除された場合は、都度、払い戻しとヒットを送信します。
-
削除する商品と、払い戻しに関連付けられる収益、商品収益、商品数量を必ず指定します。全額払い戻しを行う場合でも、この情報を指定してください。
値が「1」のみのカスタム指標を作成する必要があります。この指標は、一部払い戻しではなく、全額払い戻しを顧客がリクエストした場合にのみ送信します。また、ヒットスコープで設定すべきです。このようなカスタム指標を作成する必要があるのは、トランザクションの全額払い戻しの総回数をカウントする指標がないためです。
Looker Studio レポートの作成手順
-
メインビューを Looker Studio に接続して、新しい Looker Studio データソースを作成します
-
データソースに次のフィールドを作成します
-
重複を除いたトランザクション数
-
計算式: count_distinct(transactions)
-
-
最終トランザクション数
-
計算式: 重複を除いたトランザクション数 - トランザクションの払い戻しのカスタム指標
-
-
最終収益
-
計算式: 収益 - 払い戻し額
-
-
最終商品収益
-
計算式: 商品の収益 - 商品の払い戻し額
-
-
最終的な商品数量
-
計算式: 数量 - 払い戻しが行われた商品の数量
-
-
重複を完全に除き、払い戻しも差し引いたトランザクション指標を作成するには、Looker Studio のデータソースに計算フィールドが必要です。他の計算指標でも、払い戻しによる収益と数量の減少を考慮して、収益、商品収益、商品数量の指標を作成する必要があります。
制限事項
カスタム レポートを作成し、Google アナリティクスの標準的なレポートを使わない場合の主な問題点は、マルチチャネル レポートやアトリビューション レポートなどでトランザクションの重複が除かれないため、そうしたレポートがあまり役に立たない可能性があることです。