データ管理プラットフォーム(DMP)を使用すると、さまざまなソースからのユーザーデータを結合して、ユーザーリストを作成したり分析したりできます。特定の要件が満たされていれば、Google アナリティクス 360 と BigQuery を組み合わせて、限定的な疑似 DMP として使用することができます。
概要
Google アナリティクス 360 では、ユーザーとコンテンツのデータを収集して、BigQuery にエクスポートできます。Google アナリティクスと BigQuery の統合は、Google アナリティクスのデータを BigQuery にエクスポートする一方向結合です。BigQuery のデータを自動的に Google アナリティクスにエクスポートすることはできません。
Google アナリティクス データを BigQuery の Google アナリティクス以外のデータセットと結合するには、Google アナリティクスと Google アナリティクス以外のデータセット間に共通キーが必要です。BigQuery で結合されたデータと Google アナリティクスの管理画面にあるデータの間にも共通キーが必要です。
共通キーの作成
Google アナリティクス データと他のデータソースとの共通キーを作成するプロセスは、関連するデータソースによって異なりますが、一般に、関連するデータソースに関係なく、データ収集時に共通キーを作成または取得する必要があります。ユーザーリスト キーやデータ拡大値を最終的に Google アナリティクスにインポートするには、通常、イベントやページビューの発生時にこのデータを取得する必要があります。
キーの例: User-ID
一般的には、User-ID 値をカスタム ディメンションとして収集し、その User-ID 値を Google アナリティクスと顧客管理(CRM)データの共通キーとして使用します。User-ID が有効にされている Google アナリティクスのビューでは、現在のところリマーケティング ユーザーリストを広告プラットフォームにリンクできないため、カスタム ディメンションが必要です。標準ビューでは、User-ID を収集して User-ID 値にデータを関連付けることができるため、広告プラットフォームでリマーケティング ユーザーリストを使用できます。
- ユーザー スコープの User-ID カスタム ディメンションを作成します
- ユーザーがウェブサイトやアプリにログインするたびに、User-ID 値を収集し、カスタム ディメンション値として少なくとも 1 回送信します
- User-ID 値は、CRM でユーザーを識別する値と同じでなければなりません
キーの例: Client-ID
ウェブサイトやアプリに User-ID 値がない場合、Google アナリティクスによって自動的に作成された Client-ID を共通キーとして使用できます。
- ユーザー スコープの Client-ID カスタム ディメンションを作成します
- ユーザーがウェブサイトやアプリにアクセスするたびに、Client-ID がカスタム ディメンション値として取得されます
- ユーザーのインタラクション(ニュースレター登録のメール送信、顧客情報の送信など)によりユーザー プロファイルが作成された場合、Client-ID 値も収集され、Google アナリティクス以外のユーザー情報とともに保存されます
Google アナリティクス データを BigQuery にエクスポートする
データを BigQuery にエクスポートする際は、User-ID ビューではなくマスター データビューを使用します。これにより、最も広範囲に使用できるデータセットが BigQuery にインポートされます。User-ID や Client-ID の値をカスタム ディメンションとして収集することで、バックエンド データセットを BigQuery にインポートし、Google アナリティクスのデータに追加することができます。
さまざまなデータセットを正しく結合するには、SQL と Google アナリティクスの BigQuery Export スキーマを十分に理解する必要があります。
必要に応じて、Google アナリティクスのデータを BigQuery からエクスポートして、結合や分析を別の場所で行うことができます。Google アナリティクスのデータは、第三者のデータ ウェアハウスに直接エクスポートできませんが、BigQuery に一度インポートしてから、別の場所にエクスポートすることができます。
データを Google アナリティクスにインポートする
結合されたデータを Google アナリティクスにインポートするには、基本的に 2 つのアプローチがあります。ディメンションの拡張(従来のアプローチ)と Audience ID のインポートです。
ディメンションの拡張(従来のアプローチ)
ディメンションの拡張アプローチを使用するには、次の条件をすべて満たしている必要があります。
- 個人情報(PII)がインポートされない
- インポートする必要があるディメンションと指標があまり多くない
- インポートされたディメンションおよび指標は、時間の経過とともに変化または増加することはない
上記の条件に当てはまる場合は、クエリタイム データ インポート機能を使用して、Client-ID か User-ID のカスタム ディメンションをキーとしてカスタム データセットをアップロードできます。
Audience ID データのインポート
ディメンションの拡張を使用するための条件のいずれかが当てはまらない場合は、代わりに Audience ID を作成するアプローチがあります。さまざまなユーザーリストの Audience ID をインポートするには、次の手順が必要です。
- 3 つ以上のカスタム ディメンション(User-ID、Client-ID、Audience ID)を作成します
- 3 つのカスタム ディメンションは、すべてユーザー スコープである必要があります
- データを BigQuery にエクスポートします
- BigQuery でユーザーリストを分析します
- 対象のユーザーリストのユーザーに関連付けられている Client-ID か User-ID のリストを生成します
- Audience ID を Client-ID か User-ID に関連付けます
- Audience ID に PII を含めることはできません
- 各 Audience ID は、対象のユーザーリストに固有でなければなりません
- ユーザーが複数のユーザーリストに属している場合は、ダッシュやアンダースコアなどの文字を使用して、各 ID を区切る必要があります
- カスタムのクエリタイム データ インポートを設定します。これにより、Client-ID か User-ID のいずれかのカスタム ディメンションに基づいてデータを結合し、Audience ID 値をインポートできます
- User-ID 値または Client-ID 値と、Audience ID 値を含む CSV ファイルを生成します
- Management API を使用して .csv ファイルを自動的にアップロードするプログラムを作成します
リマーケティング ユーザーリストを作成する
ディメンションの拡張のデータ インポートでは、インポートされた値に基づいてリマーケティング ユーザーリストを作成できます。
Audience ID のデータのインポートでは、Audience ID の値に基づいてリマーケティングのユーザーリストを作成できます。
ディスプレイ広告の移行先(GDN、ディスプレイ&ビデオ 360、Google アド マネージャー)と Google オプティマイズについては、新たにアップロードされた定義に基づき過去 10 日間を遡ってユーザーの登録を試みますが、ウェブサイトまたはアプリのリピーターを完全にユーザーリストに登録するには時間がかかることがよくあります。
作成したリマーケティング ユーザーリストは、Google 広告やディスプレイ&ビデオ 360 で使用できます。
制限事項
- ディスプレイ&ビデオ 360 とキャンペーン マネージャー 360 が Google アナリティクスにリンクされている場合は、Google アナリティクス管理画面で表示可能なこれらのプラットフォームに関連するデータが Google アナリティクス データと一緒に BigQuery にエクスポートされることはありません。BigQuery では、Google マーケティング プラットフォームのデータ転送ファイル(DTF)を使用できます。
- リマーケティング ユーザーリストは、ディスプレイ&ビデオ 360 および Google 広告とのみ共有できます。
- Google アナリティクスに情報を自動的にインポートするには、カスタム ソリューションを構築する必要があります。